【検証】港湾基点の集落形成のなごり 尾道市との合併に向けて因島の役割 問われる海の玄関口整備

掲載号 05年10月01日号

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 村上和弘因島市長の9月定例議会における重井西港無料化への前向きな答弁を契機に、市内の船とバスの駐車場の現状への市民の関心が高まっている。その現状について検証したい。

 因島市は、尾道・因島市新市建設計画において、まちづくりのテーマに「瀬戸内の十字路に輝く宝石のような価値あるまち」を掲げ因島地域を「瀬戸内しまなみ海道や芸予諸島の交流・生活拠点」と位置づけている。そして、あらためて高速交通や海上交通の利便性が注目されてきている。とりわけ今年度内のしまなみ海道全通を控え、いっそうの「橋ゲタ化現象」の進行が予想され、海上交通による因島地域独自の、島と本州島と島の交通が見直されざるをえない。少子高齢化の進む島にとって海上交通の整備は不可欠の課題になっている。

原則無料で整備

 因島市内の船とバスの交通機関利用者のための駐車場は、原則として無料で使用されている。船便は次の通り。

  • 田熊町 生口島赤崎間フェリーと岩城小漕間フェリーの金山港。無料での駐車が黙認されている。

  • 重井町 長串の尾道行きフェリー(鉄工団地そば)の無料駐車場が整備されている。現在、瀬戸田―重井―尾道と高速艇が運行し、尾道市農協病院への通院、通学、通勤に便宜をはかっている。

  • 三庄町 家老渡―上弓削間フェリーのために市が平成13年、無料駐車場を整備した。これは、因島・上島連携交流協議会での上島側からの要請を受けて、弓削の潮湯利用者への便宜を提供したものである。

  • 東生口 赤崎港と岩城間フェリーの洲江港に無料駐車場が提供されている。とりわけ赤崎港は、新築された快適な待合所を中心に駐車スペースが整備されている。
 バス便については、重井インター近くの尾道・福山・広島行きバス停に無料駐車場が整備されている。ここは、私有地を市が借り上げ提供したものである。


重井インターバス停の駐車場

不公平な重井西

 原則無料というなかで、平成7年度から始まった重井西港の有料駐車場の不公平性が目立つ。重井西港駐車場の料金制度は以下の通りである。

  • 普通料金 最初30分まで無料▽引き続く1時間は100円▽以後1時間ごと50円加算▽ただし24時間ごと600円。

  • 定期料金(月極) 全日6180円▽午前7時~午後10時4120円▽午後5時~翌日午前8時2060円。
 この駐車料金が高速艇やフェリー代に加算されるわけで、利用者のなかで重井西港離れがおきたのも当然のなりゆきであった。これは「因島の北玄関口」と言われる重井西港をさびれさせ重井町の衰退化傾向をもたらした。

 現在、重井西港駐車場の無料化のチャンスが訪れている。無料化への最大の障害とみられていた約1900万円の整備事業費借入金の返済が終了したからである。合併を前にして、駐車場事業基金をとりくずし、借入金繰り上げ返済の財源にあてた。

長崎桟橋渋滞解消

 フェリー待ち車輌のはみだしによる渋滞が深刻化していた土生町長崎の生名・弓削のフェリー待機場の整備工事がまもなく始まる。タクシー乗り場を近くの市有地に移し、乗船用に2車線、下船用に1車線を確保して、バス通りへのはみだしをくいとめる。


渋滞に泣く長崎桟橋

青木忠

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