泣くも笑うもあと一週間の攻防 大物来援、自民不在の広島6区 支援層連携にねじれ現象を反映

掲載号 05年09月03日号

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亀井静香佐藤公治堀江貴文
伊藤洋二
亀井静香68国前(9)佐藤公治46民前(2)堀江貴文32無新伊藤洋二27無新
○党県6区支部長○自民党政調会長、建設相、自民党組織広報本部長、運輸相、衆院農林水産委員長、運輸政務次官、警察庁長官官房調査官○庄原市○東京大経済学部○党県代表、党県6区総支部長、党役員室次長○衆院懲罰委員会理事、党副幹事長、自由党県連会長、佐藤守良衆院議員秘書、電通勤務○尾道市○慶応大法学部○ライブドア社長、イノベーションラボ取締役、ネットアンドセキュリティー総研取締役、ブロードバンドピクチャーズ社長○サイバーエージェント取締役○福岡県○東京大文学部中退○無職○堂島関東証券ディーリング部勤務○福山市○早稲田大商学部

 時の流れを変えようという小泉郵政改革選挙。落下傘、刺客「仁義なき戦い」でマスコミや有権者の目を引きつけ序盤戦に突入した。ここに来て小泉劇場といわれたワイドショー的選挙戦もトーンが下がり冷静さを取りもどしつつありテレビの党首討論も郵政から年金、少子化、経済、教育問題がとりあげられるようになった。

 自民王国広島県連は6区の亀井候補のあつかいに頭を痛め「羊頭狗肉の策」を掲げていたが、小泉首相のエールを受けてやって来た無所属、堀江候補の街頭演説で竹中平蔵郵政民営化担当相がマイクをにぎったことで火がついた。

 頭にきたのが自民広島6区県議団。自民推薦を断たれ息をひそめていた亀井支持者はふんまんやるかたない。自民党県連会長で実兄の郁夫参議員が福山で開かれた国民新党総決起集会で「弟を頼む」とあいさつした。

 山陰では中国ブロックの応援に田中真紀子元外相が「郵政民営化で虎の子の貯金が外国資本に持っていかれる不安がある」と、真紀子節を全開。自民党の青木幹雄参院議員会長が、国民新党の亀井久興幹事長とは郵便局を守るという点では一致している―と、街頭演説。各地でルール違反が起き、公明との連携もケースバイ・ケースになっている。

  • 因島地域の亀井支持層は自民系組織団体。これまでの選挙母体と変わりない。8日には市民会館で亀井静香決起大会を開く。

  • 佐藤陣営は、旧民社系のOBをはじめ連合、亡父守良元農相の支持者などで、5日には市民会館で個人演説会を開く。すでに小沢一郎民主党副代表の応援を受け紳士服の青山五郎会長の推薦協力は府中市の選挙構図にかなり波紋が起きるだろう。

  • 無所属新人の堀江候補は常石造船グループの応援が浮上、今後が注目。

  • 伊藤洋二候補は自転車でポスターを貼りながらの行脚、全体の投票アップはまちがいない。
 集会とテレビを使いこなす亀井。「内閣の新顔」テレビの堀江。地域密着スタイルの佐藤。報道陣の密着取材を気にかけながら三者三様の戦いは過去にない現象を生み出している。

傍目八目

 なんでもありの今回選挙。誰が予測していただろう。前回選挙は民主党公認の佐藤公治が自民の大物亀井静香に3度目の挑戦で1万7千票差まで追い上げた。次は接戦になり「金星」の期待がかかっていた。ところが小泉劇場の刺客としてホリエモンこと堀江貴文が送り込まれて大混乱。自民―民主の互角の取り組みが一変してワイドショー的全国版に。

 選挙民のとまどいは隠し切れない。これを突発的に起った「晴天のへきれき」という人もいれば「茶番劇」とやゆする人、様々だ。大挙した報道陣の密着取材も広島6区で初めてのこと。全国注目の亀井VSホリエモンのテレビ討論。佐藤は論戦をさけ「二虎競食の計(孫子の兵法)」。2人を争わせ一方を倒して傷ついたあとの敵を労せず倒すという漁夫の利を得る戦法。

 ところが、ホリエモンが佐藤を訪問して握手を求め、因島水軍まつりで顔を合わせて言葉を交わすなど、いったい何の計だったのだろう。前門の虎後門の狼という古代中国のことわざもある。

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