2年に3回の瀬戸田町長選の顛末 高本新町長臨時町会で旧体制復活 助役に萬所氏、収入役に向山氏

掲載号 05年07月30日号

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 29日開かれた瀬戸田町議会臨時議会において高本訓司新町長は、「尾道市との合併に全力を尽くす」という所信表明を行った後、元柴田町長時代の萬所象治助役、向山正久収入役を復帰させる選任同意案を提案し議会は賛成多数で同意した。


高本新瀬戸田町長

 この人事は反対派町民には驚きをもってうけとめられており、先ほどの町長選挙でかもし出された尾道市との合併に向けた町民融和ムードは、吹き飛ばされようとしている。

 周知の通り、萬所氏と向山氏は元柴田町長の腹心中の腹心。田頭前町長の慰留を固辞し助役、収入役を辞職した。およそ復帰はありえないと思われていた。高本新町政は田頭派でも柴田派でもない町民融和を旗印に無投票で当選した。当然のことながら人事案件については配慮されることと思われていたが裏腹の結果が出た。

 これを旧柴田体制の復活だと指弾する声が広がっている。解散区長連合の復活の動きが火に油を注ぐ結果となった。しかも、この偏った人事を契機に新町長をめぐる女性問題スキャンダルが浮上、選挙のしこりはぬぐえそうもなく事態は泥沼の様相を示している。

(青木忠)

傍目八目

 人間は温かさ”惻隠の情(そくいんのじょう)”という心を持ち合わせている=孟子=という。人の心を感じ相手の身になって考える心のことらしいが、瀬戸田町長選挙の顛末は新町長の「失楽園」問題が浮上してきた。ことの起りは、前町長の人事案件をかたくなに反対してきた元柴田町長派の言動が辞職に追い詰められた田頭支持者の惻隠の情を逆なでしたことによる。

 尾道合併を5か月後に控えた町長選挙で町民のシコリを残さぬ配慮から長老・有識者が奔走した無競争工作という英断はそれなりに評価があった。だがその後がいただけない。3月末に解散した区長連合会の復帰。前町長辞職まではヒゲをそらない、と選挙の怨念をあらわにしていた柴田元町政の三役(助役・収入役)復帰問題などが田頭前町長派の忍従に火をつけた。

 中でも立候補を断念させられた脇本前町衛生課長支持者は憤懣やるかたない。度重なる政争の渦の中で人情味の厚いはずの瀬戸田町から惻隠の情が廃れてきたのだろうか。

(村上幹郎)

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