【傍目八目】日本人とサクラについて

掲載号 05年04月09日号

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 お花見といえばサクラ見物。春の風物詩の代表的なものである。そしてニッポンを象徴する花でもある。古くは「万葉集(わが国最古の歌集。二〇巻。奈良時代)にも登場するが、当時は、春の花といえば中国から伝来した梅花が詠まれる方が多かった。

 ところが続万葉といわれる「古今和歌集」では、日本古来の桜の花、特に散り際を惜しむ歌が多く詠まれるようになった。桜には開花する前から散るまでに、ほかの花とは比べ物にならないほどの豊富な表現と数え方がある。つぼみは一個二個だが、ほころんだ花は一輪二輪。花びらは一枚二枚で、それが舞い散ると一片(ひとひら)二片(ふたひら)と数える。

 そのほか枝のことを「朶(だ)」という雅(みやび)な数え方を使って雲か霞のように咲いている様を「万朶乃桜(ばんだのさくら)」と表現する。このように日本語の美しさ、表現の豊かさ。ニッポンの花サクラに寄せる思いはそれぞれ違い日本人のサクラに対する思い入れをこの季節になると垣間見る。

村上幹郎

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