瀬戸田町議会が尾道合併議決 期限切れ直前に苦渋の選択 来年1月尾道編入が確定

掲載号 05年03月26日号

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 尾道市との合併関連議案審議に入れず空転をつづけていた瀬戸田町議会は23日未明、賛成多数で合併関連3議案を可決した。これをうけて田頭秀生町長は同日すでに市議会が合併関連議案を可決した因島市の村上和弘市長と尾道市の亀田良一市長とともに、藤田雄知事を訪れ、議決が出そろったことを報告した。

 4年半にわたり合併先をめぐってジグザグを繰り返してきた瀬戸田町は合併特例法期限内ギリギリで尾道市との編入合併を選択。これでもって、来年1月10日、因島市とともに尾道市に編入されることが確定した。

議会内での雪崩れ現象

 尾道市との合併をめぐり瀬戸田町は内外にわたってギリギリのところまで追い込まれていた。因島市議会が18日、合併関連議案を可決、つづいて尾道市議会も22日、可決。静観をつづけていた町民の我慢も限界に達しつつあった。そもそも尾道市との合併は瀬戸田から申し込んだものであり、いかなる町内事情があろうとも合併を遅らせることなどできるはずのないものであった。

 合併協議のすすめ方について抗議し解散を宣言した区長会と、その意向を代弁する一部議員の動向は、合併議案審議の時間切れを露骨に狙ったものと見られていた。もはやこれは、議会のルールを越えたものであり、合併審議の名をかりて田頭町長に打撃を与えることを自己目的化する様相すら呈していた。田頭町長を辞任に追い込み、柴田大三郎前町長を復活させるシナリオがささやかれていた。

 重苦しい雰囲気のなかで22日朝、合併問題調査特別委員会が始まり、合併3議案の審議に入った。たびたび休憩をはさみながら委員会はつづき、日が改まって採決の時が訪れた。午前4時過ぎの本会議採決は、賛成11、反対4.予想を超えた票差であった。一種の雪崩れ現象が議会で起きたと評価する見方が多い。

合併協議の新らしいスタート

 田頭秀生瀬戸田町長は、合併議案可決後、「正直ホッとしている。議会でのこうした可決は今後の励みになる。合併協議は、これで新しいスタートについた。民意を反映できるよう頑張りたい」と、語った。

 尾道市との合併は、いまだ大枠が決まったに過ぎない。来年1月の合併に向けて、多くの協議事項が残されている。大きな問題になっている支所機能の充実にしてもこれからだ。こうした合併協議を進めるうえで編入合併の現実は重い。簡単に言えば編入とは、言いなりであるということである。この現実から目をそらさず、瀬戸田町側の正当な要求をいかに反映させていくかである。

課題山積 民意の反映を

 町長選挙後の合併議論のあり方も再検討が求められている。議会が自らの責任をたなにあげ、町長にすべて責任をなすりつけるような合併協議のあり方では、まったくたちうちできない。

 合併協議の困難さも含めて住民に事態を明らかにし、町総ぐるの合併協議の体制を作っていくことの重要さである。瀬戸田町議会での合併関連議案の大差による議決が今後どのように作用するか注目される。

 様々な問題点を抱えながらしまなみ海道で結ばれた2市3町の新尾道圏合併の大枠が整いつつある。因島市と瀬戸田町も新しい関係の構築が問われることになる。来年1月の合併に向けて新しい歯車が確実に回り始めている。

(青木忠)

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