因島市議会定例会 尾道合併を来年に控え無難な質疑に終始

掲載号 05年03月12日号

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 1日から開会中の因島市議会定例会は会期18日間の半ばを過ぎた。今年の3月議会は、尾道市との合併を来年に控えた新年度当初予算審議という歴史を画する議会であるにもかかわらず無難な無気力な質疑に終始し、極めて低調である。

 まず目立つのは、合併問題について、まるで腫れ物にさわるような態度である合併に賛成、反対のどちらであろうが、合併関連議案の議決前に合併のメリットだけでなくデメリットを明らかにし、それに対する対策を練らねばならない。しかし、一部を除いて議員はデメリットについて沈黙し始めている。

21億円の持参金

 次に予算審議そのものの低調さである。村上和弘市長は新年度当初予算案について、「合併の道筋をつける堅実予算」と自画自賛するが、言い換えれば自立性を捨てた合併依存型予算であるから、議会が無気力になるのも無理からぬことかもしれない。

 この点について複数の議員から質問が出された。向島町は合併に向けた最終予算を前年度比20%増で編成した。それに比べて因島市は、言わば市の貯金である21億5千万の基金を市のために使わないまま、合併の持参金として持っていくのか、というものである。つまり新年度当初予算案は20億円もの持参金を確保したうえでの残り物予算とも言えるのである。この点について理事者側は次の様に答弁した。

 新尾道市の財政の健全性を視野に入れて、新年度の本市予算を編成した。ほとんどの課題を新市建設計画に入れることができた。基金については、使わないで因島市の誠意を示し、それを担保にして新市建設計画を実現していく。

 つづいて、合併後に新市建設計画が見直しにでもなったらどうするのか、との質問がだされると、「行政には継続性がある」と心もとない答弁をするのみ。

 住民は、新市建設計画が「絵に描いた餅」になるのではないか、との不安をかくせない。「合併すればどうなるか分からない。因島市の予算は、合併の前に、因島市のために使うべきではないか」という率直な気持ちも根強い。

行政推進員条例 お手盛り成立か

 定例会における行政推進員と参与設置についての質疑も実におとなしくなってしまった。「合併協議はこれからだ。合併にはコストがかかる」と、行政推進員と参与の設置賛成論が声高に語られ、反対意見は一部議員にかぎられている。

 市民の疑惑は、行政や議会のお手盛りでないかというところにある。自分たちの都合のよいように自分たちで決めるのではないか、という不信である。その市民の声に答える近道は、そのメンバーを一刻も早く公表し、お手盛りでないことを示すべきではないだろうか。

総体質問

青木亮介議員=「最も重要なものは市民の防火・防災意識の高まり。その啓発をどのように図っていくのか」。

市長=「市民総ぐるみの防災が必要。そのために地域における自主防災組織の確立をめざしたい」。

村上富男議員=「合併後の総合支所機能の充実をどのように図っていくのか」

市長=「住民の利便性向上のため地域完結型の総合支所をめざす。管理、事務局部門を除き、従来の行政機能を多く残す方向で調整したい。職員もできるだけ地元で働けるよう協議していきたい」。

大崎金吾議員=「合併を前にした最終予算ということで、もっと膨らました編成ができなかったのか」

市長=「依然として財政環境は厳しい。投資的経費を9億5399万7千円と前年度比65.4%の大幅増にしたことで理解いただきたい」。

清水通秀議員=「アメニティプール温水化に関して温泉がほしいという声があるが、温泉を掘る業者を誘致できないか」。

市長=「プール温水化は最優先事項。しかし現在、温泉を掘る業者を誘致する計画はない」。

岡野長寿議員=「私たちが独自で実施した市民の合併意向調査の結果では、合併反対が多い。市で意向調査をするつもりはないか」。

市長=「昨年12月の合併住民アンケート調査結果を尊重したい。2度の住民説明会で理解をいただけたと考えている」。

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