因島市当初予算案記者会見 行政推進員条例案に質問集中「 必要だから必要 」と苦渋の弁

掲載号 05年02月26日号

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 因島市の平成17年度当初予算案の記者説明会は22日市役所内で行なわれたが、例年になく活発な質疑の応酬が繰り返された。その大きな原因は、突然浮上した因島市行政推進員設置条例だった。

 まず記者団が、推進員のメンバーに議員経験者は入るのか、もしそうだとしたら、議会の二重化になるのではないかと質問。それに対し村上和弘市長は、「議員経験者がなる可能性を否定しない」と回答。

改選時引退の特定議員の救済

 さらに、任期の始りが明記されてないことが問題になった。

 宮地正助役は「最大限9カ月間」と説明したが、それ以上は決ってないとした。しかし、議会の秘密会では、メンバーに議員経験者と明記され、任期は本年5月20日から来年1月9日と明示されており、批判が集中した。

 5月20日の前日の19日が現職議員の任期の終わり。つまり、4月改選時に引退する現職議員に行政推進員への受け皿を準備しているのである。4月市議選を前に、現職議員へ引退をすすめ、選挙の無投票化さえ狙う意図も見えかくれする。

 したがって、選挙前にメンバーを決められないのかと記者団に問い詰められ立ち往生した。

 こうしてみると、議員経験者と一般有識者でなく、現職議員の、そのなかでも改選時に引退する議員、つまり特定の議員の救済が目的ということになる。

月額の報酬 公民館館長なみ

 次に、行財政改革のもとで月額15万5000円もの報酬を払うことについて、疑問が集中した。10人以内の行政推進委員の報酬1395万円を含む1576万円の予算計上は、決して少なくない。

 教育委員の月額報酬は5万円。法定協議会の委員は会合に出席した時だけ、日当5000円を受け取る。行政推進員の優遇は歴然としている。

 さらに記者団は、福山市と新市町の合併を例にあげた。実質的に何も活動していないのに高額の報酬を受けた失職議員が住民の激しい怒りをかった。村上市長は、「嘱託職員と同じように仕事をしてもらう。そのために活動日誌の提出をお願いする」と答えた。

 しかも行政はこの行政推進員に加えて、非常勤の市長の相談役として参与を月額15万5000円で新たに設置する。まさしく屋上屋を架するとはこのことだ。

 議会とは別に、前職議員を中心とする行政推進員制度を設置し、助役とは別に、相談役を置く必要性はどこにあるのか。説明らしい説明は何もされていない。

 ところで尾道市は、新年度当初予算案に合併後に失職する議員がなる地域推進委員の報酬総額5520万円を盛り込んだ。一人当りの報酬は月額20万円。

 この制度が来年の合併時に失職する因島市の議員にそのまま適用されるとは決っていない。村上市長は、行政推進員と尾道市の地域振興推進委員は別だと明言するが、果してそうだといいきれるのか。それに向っての巧妙な布石とも見てとれる。

 議員への特別扱い、失職する議員への意味のない救済、ただの無駄使いなどという、強い住民の批判をかわすために考えられたシナリオかもしれないが、住民の目をごまかすことは容易ではないだろう。

 行政側の説明には何ひとつ住民を説得するものがない。ますます疑惑と怒りはつのるばかりである。

(青木忠)

因島市行政推進員設置条例

(設置)
第1条 合併の推進その他本市の当面する課題の解決を図り、もって市政の円滑な運営を期するため、因島市行政推進員を設置する
(職務)
第2条 推進員は、その知識経験を生かし、市政への協力及び日常的な活動を通して地域住民と市との連絡調整等を行うとともに、市長の求めに応じ、その意見を具申するものとする。
(身分)
第3条 推進員は、地方公務員法第3条第3項第3号に規定する非常勤の嘱託員とする。
(委嘱及び委嘱期間)
第4条 推進員は、優れた識見を有する者のうちから、市長が委嘱する。
2 推進員の任期は、委嘱の日から平成18年1月9日までとする。
(定数)
第5条 推進員の定数は10名以内とする。
(幹事)
第6条 市長及び推進員並びに推進員相互間の連絡及び調整を行うため、推進員の中に幹事若干名を置く
(召集)
第7条 市長は、必要があると認めるときは、推進員を召集する。
以下省略。

別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例

行政推進員 月額155000円以内で予算で定める額
参与 月額155000円以内で予算で定める額

平成17年度の主な新規事業
(単位万円)

 暮しと環境 ポンプ場改築更新計画基礎調査業務委託=130▽竹長新開ポンプ設置=3812▽扇新開ゲート改良1688

 しまなみ交流都市 水軍城まつり=200▽アメニティ公園まつり=200▽小早仮設艇庫整備550▽温水プール建設調査=300▽市道赤松赤松新開線改良=7100▽囲碁の館基本計画策定=157

 産業振興 わけぎ新規造成=158▽フラワーセンター整備計画策定=500▽因島技術センターの充実200▽まちづくりTMO構想策定=278

 福祉・教育 特別養護老人ホーム整備=5320▽人権文化センター改修=2582▽旧因島高校土生校舎耐震診断など=1204▽因北小耐震診断=798▽三庄小・因北中校舎耐震設計=1155

新市建設計画主要事業

 ハード事業 汚泥再生処理センター建設▽囲碁の館建設▽因南中学校建設▽アメニティプール温水化▽中心市街地整備▽三庄消防屯所整備▽田熊老人集会所建設▽総合福祉保健センター建設▽中庄公民館建設▽水軍城モノレール設置

 ソフト事業 囲碁のまちづくり推進事業▽因島技術センター支援事業

 県営事業 県道西浦三庄田熊線道路改良(深浦)▽同(小用)▽国道317号道路改良(青影バイパス)▽港湾海岸保全施設整備(重井港、仁井屋新開、三庄2カ所)▽畑地帯総合整備(重井町)

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