足裏にざくり音立つ霜柱仕事がかりの二の足を踏む

掲載号 05年02月19日号

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村上冨美子

 今朝はちと寒いね、と思いながらも、天候が晴れだとテレビの気象予報士が言っていたので、作業衣に地下足袋という出で立ちで、一歩家を踏み出したところであろうか。畑土の塊(かたまり)がざくりと足裏に崩れる音がして、一瞬の間ではあるが、「あっ今日は霜柱が立っている」思わず足元に目を落としたのである。霜柱の立つ日は畑土も凍みていて仕事にはならないので、この歌のような「二の足を踏む」という言葉になったのであって、農作業に携わる者の驚き・実感ではないだろうか。

 短歌の上では「二の足」と言ってはいるが、一の足が特別にあるわけでなく、便利のいい慣用語(かんようご)の一つである。人が何かに向かうとき、実施しようとする時のためらいの気持ちのときによく使われる言葉である。

 近ごろは地球の温暖化であろうか、私達の子供時代によく見、体験もしたことのある厚氷の張るのを目にしないようになった。畠も家の屋根にも真っ白くなるような大霜の朝は皆無と言ってよいほどに無くなった。一と冬に霜を置く朝が何日あるであろうか、今年は薄ら霜、薄ら氷が一、二度張っていたのを見かけたが、昔のように犬猫が飲み水がなく氷を舐めていたり、小鳥が氷をつついていたりする情景は見なくなり、霜枯れといいう言葉も少しずつ薄れているようだ

 二の足を踏むと言う言葉に魅かれて楽しく読ませてもらった一首だが、農作業は一年を通して何日好天気に恵まれているのだろうかと思った。雨の日、暑い日、寒い日、風、雪、霜の日いずれも休んでばかりいられないのが農作業者である。

(筆者・池田友幸)

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