レモン畑のみどりの風を吸いこめば猛暑に疲れし臓腑洗わる

掲載号 04年12月11日号

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河内せい子

 この夏の記録的な暑さにはほとほと参ったけれど、レモンさんもさぞかし暑かったろう。と思いながらレモン樹林を見て廻っているのである。人間は暑い暑いと言って日陰に入り、クーラーでもかけられて、猛暑を凌ぐことが出来るが、レモンの木は自ら葉先を丸めて筒葉状になって耐えに耐えながら猛暑を越えて来た。

 今年は六月七月は雨が少なく八月九月と大雨に台風と、これまた嫌になるほどの雨である。何でも過ぎたるは及ばざるで、ほどほどなのがよい。作者は、ほどほどの雨をまさに慈雨だと思いながらレモン畑の道に来ている。畑道の散歩か、レモンの木の整枝か肥料やりか。胸底深くに、みどりを取り戻したレモンの樹の間を吹く風を吸っていると、腹の中まで洗われた気持になって来たという喜びを感じさせる作である。

(筆者・池田 友幸)

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