天元戦五番勝負 昨年に続き因縁の対決 山下九段3連勝で雪辱

掲載号 04年12月04日号

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 囲碁を「市技」に定め、まちづくりに取り組んでいる因島市で11月26日、第三十期天元戦の第3局目がホテル・ナティーク城山で打たれた。対局者は昨年に続き羽根直樹天元(28)=棋聖=に山下敬吾九段(26)が挑戦、白番の山下九段が中押し(途中で投了)勝ち。3連勝で初の天元タイトルを手にした。


戦い終わってとりあえずよかった―と、戦況を振り返る山下新天元(左)

布石にこだわらずツバ競り合い

 この日、午前9時、羽根天元黒先で第一着を右上隅小目(17四)に打ち下ろして始まった。第1局11月4日の岐阜グランドホテル、同12日北海道登別市第一滝本館の第2局に連勝、天元を角番に追い詰めた山下九段だが昨年、フルセットの末に惜敗した苦い思いがある。

 天元戦四連覇を目指す羽根天元は「因島で連敗脱出して巻き返しを」と意気込み。両者とも布石にこだわらず左上隅から激しいぶつかり合い。互いに中央でツバ競り合いをしながらせめぎ合って下辺の戦いへと展開していった。山下九段は前傾姿勢で盤上に覆いかぶさり長考する場面が多く、羽根天元は背もたれに体をあずけ盤面全体を見つめるという対象的な姿勢。

 午後5時23分。山下九段は左辺での局面を得をしながら目をつくって有利に生き、流れを決め右辺白162(17九)を見たところで羽根天元が一礼して投了した。

 持ち時間各4時間のうち残り時間は羽根天元1分、山下九段47分。

 初のビッグタイトルを獲得した山下新天元は1978年、北海道旭川市生まれ1993年初段。2003年九段。1998年から2001年まで新人王戦4連覇。日本棋院所属。

 26日午後5時半すぎ山下新天元は感想戦で戦法を振り返り、白78(12十六)に黒79(12十五)と切られて悪くした。しかし、左辺で得をしながら生きることができ勝ちが見えてきた―と盤上を手で拭きながら至福の一服を味わっていた。


大盤解説する中野九段と徳永アマ6段

 同ホテルの大盤解説は午後4時から始まり音戸町出身の中野寛也九段(35)と聞き手の神辺町・徳永智紗月アマ6段(27)が第1着から対局を再現。心理面の変化を分析しながら狙いや勝因どころなど解説。九州をはじめ地元ファンを魅了させた。

 この天元戦誘致で日本の七大タイトルのうち六タイトル戦を因島で開催、残るは十段戦だけとなった。

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