気遣える末娘と園を歩めるはいつよりのこと自ず静けく

掲載号 04年11月20日号

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和田 綱郎

 作者は、久しぶりに末っ子の娘と連れ立って公園を歩いた。歌の上ではそれ程に詳しくは述べてはいないが、どこかのフラワーセンターか植物園であろうか、石段が多い、急な坂、長い道のりなどについて、気を遣って貰うと、意外にも面はゆい気持になって来る。並んで歩きながらの心遣いを素直に受け止めているのである。結句の「自ず静けく」は短いが重みのある言葉である。人の心の内側を心象描写している所がよい。

 思えば、末娘とは二十数年も同居はして来たが、一度もゆっくりと一緒に歩いたことがない。遠くになってしまった記憶をひき寄せながら自問自答しながら自分の歳と末娘の歳を引き比べているのである。

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