日本棋院囲碁殿堂資料館オープン 本因坊秀策ら4人顕彰「殿堂入り」囲碁ファンに感動与える施設目指す

掲載号 04年11月20日号

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 囲碁文化の発展に貢献した先人を顕彰する「囲碁殿堂資料館」が15日、東京千代田区の日本棋院東京本院内にオープンした。日本棋院(加藤正夫理事長)が創立80周年の記念事業として約7000万円で開設した。同日、棋士や棋院関係者らが列席して資料館のオープンに続き、80周年の記念式典が開かれた。

 囲碁殿堂資料館は地下1階広さ約100平方メートル。殿堂入りした先人のレリーフや掛け軸、碁盤・碁石などのほか源氏物語の囲碁描写浮世絵の背景に描かれた碁盤、本因坊家の僧衣など囲碁文化を知る上で貴重な資料が展示されている。


本因坊秀策記念館から出品された遺品コーナー

 初年度に殿堂入りしたのは、囲碁を「国技」に高めた天下人、徳川家康(1542―1616)▽天下人に仕えた近世囲碁史の開祖、本因坊算砂(1559―1623)▽革新的碁法と制度改革を進めた碁聖本因坊道策(1645―1702)▽御城碁19連勝の偉業を達成した本因坊秀策(1829―1862)の4人。


江戸時代の御城碁対局黒書院を再現したミニチュア

 今後はこうした歴史上の人物だけでなく、現存の棋士なども含め毎年数人ずつ殿堂入りする。このほか来年5月には「囲碁用具」から「ヒカルの碁」まで特別企画展。11月「殿堂者顕彰展」を開催。第2回囲碁殿堂入りした人たちのゆかりの品を展示してその足跡を辿る。月曜を除く毎日午前11時から午後5時まで見学できる。入場無料。

殿堂入り四家 和かに顔合せ

 殿堂オープニングセレモニーは15日午後10時40分からだったが、殿堂入り四家の関係者は同10時前に控室に案内された。

 歴代順では十八代徳川恒孝(つねなり)さん=徳川記念財団理事長▽本因坊発祥本山寂光寺(京都)大川定信さん▽島根県仁摩町、道策生家山﨑尚志(たかし)さん▽広島県因島市本因坊秀策記念館副館長庚午一生さん。

 全員が初対面。名刺交換のあいさつのあと、棋院会館の職員が運んで来たお茶を一服すると、僧衣姿の大川さんが「こうして本因坊家ゆかりの方々が一同に会することはええことですなー」と口を開いた。この一言で控室は和やかな雰囲気に包まれ会話がはずんだ。

 共通的な話題は、あらためて先人の偉大さを再認識したことと、家系は続いているが、碁打ちは続いていない―そうだ。その最大の理由は、先祖の権威、信頼感を傷つけないために公衆の前で碁は打たない。「禁碁」という家訓はないものの先祖を気遣っての以心伝心とでもいうのだろうか。

 「それにしても秀吉と家康が対局したという蒔絵をほどこした京都・大徳寺龍源院蔵の碁盤が盗難に遭って資料館に出展できなかったことは残念。目玉だったのに・・・」と徳川さまの弁。


殿堂資料館を見学する十八代徳川恒孝(つねなり)氏

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