瀬戸田町長選の争点【5】島にとっての合併条件

掲載号 04年10月16日号

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 瀬戸田町長選挙で柴田、田頭両候補予定者がかかげる尾道広域との合併協議は、いずれにせよ編入を前提にしたもので、瀬戸田町と因島市がともに不利な立場でスタートせざるをえない。そうしたなかでいかにして瀬戸田側の意見を反映させ、有利な条件を引き出せるかが、大きな課題になる。柴田陣営は、10万人以上の合併を強調し、合併の規模の大きさを重視し、小規模合併では意味がないとする。田頭陣営は、尾道広域との合併を推進する島同市の協力関係の強化を重視する。

 両者の違いにはニュアンスにとどまらない大きな問題がひそんでいるように見える。具体的事例をあげて検証したい。

 ひとつは、今年3月に三原と合併した瀬戸田農協のその後はどうなったかである。一時は、三原広域合併の理由付けとされた瀬戸田農協の三原農協との合併であるが、失敗だったとの声が上がり始めている。合併後、瀬戸田にあった7つの支所は2つの支店に整理され、組合員へのサービスが低下。預貯金の面においては、外回りを強化するものの、町内に4ヶ所ある郵便局に顧客が流れている。

 次に、生き残りをかける地元造船業に合併が与える影響である。全国で先駆的に造船技術者の育成につとめてきた「因島技術センター」は18日、中堅技術者育成の専門コースを新設する。国も全国の基幹校と位置付け、支援を惜しまないという。来年1月には、内海造船(株)が(株)ニチゾウアイエムシーを吸収合併し、因島を拠点に増産態勢に入る。激化する国際競争化での生き残り策である。

 尾道広域との合併論議が進むなか、地元経済界の動向をしっかり見つめながら対応することをなおざりにすると取り返しのつかないことになる。

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