リコール渦中の柴田町長辞職 尾道広域合併に変更出馬宣言 なり振りかまわぬ瀬戸田町政

掲載号 04年09月11日号

前の記事: “柴田町長辞職・出馬表明 リコール回避の狙い 怒り拡大、不可避の勢い
次の記事: “亀井静香会長が時局講演 次期総裁選への意欲示す

 市町村合併の失政を理由に解職請求(リコール)をうけていた柴田大三郎瀬戸田町長=写真=は9日午前9時、山本貢町議会議長に対して辞表を提出、同日午後の記者会見で町長選への出馬を表明した。

 会見で柴田町長は、「混迷が混迷をまねくという町政の混乱の責任をとる」と辞職理由を説明。つづいて「8月20日の尾道市長からの提案をうけて尾道市広域との合併がみえてきた。合併特例債の恩恵を受けねば本町はやっていけない。将来性は大きいが、三原とはもはや無理で、合併特例債を受けるためには尾道広域との合併を進めるしかない。尾道との合併を掲げて選挙戦をやりぬきたい」と、町長選への出馬宣言をした。なりふりかまわぬ180度の方針転換である。

 一貫して三原広域合併をめざし尾道広域合併に否定的であった柴田町長は、合併特例債の活用も拒否していた。この背景に何があるのか。8月27日に始まったリコール運動の盛り上がりがあることは間違いない。リコール成立必至とみた柴田町長は、それを無効にするよう辞表提出に踏み切った。

 柴田町長は、平成17年3月を期限とする「平成の大合併」の対応に完全に失敗し、八方ふさがりにおちいっていた。住民投票によってスタートした因・瀬法定合併協から一方的に離脱し、機能をマヒさせた。8月20日の亀田良一尾道市長からの助け舟にも態度を保留したまま。

 三原広域はいっそう絶望的になっていた。新三原市は、1市3町が合併して平成17年3月22日に発足する。新設(対等)方式のため新市発足から50日以内に市長選と市議選が実施される。新三原市の議会定数は34人。しかし今回だけは定数特例が適用され、三原市26、本郷町5、久井町3、大和町3の計37人の定数で行なわれる。もはや瀬戸田町が駆けこむ余地はない。

 そこで柴田町長は、「17年度の合併は無理なので18年度の合併をめざす」とし「単独町政」での生き残りを示唆。合併特例債についても、「本町の場合、合併特例債でどうしてもやらなければならない公共事業はない」と、高を括っていた。この柴田町長の合併特例債放棄宣言は、町内に深刻な影響を及ぼした。町内の有力な土木建築業者が相次いで倒産においこまれた。また将来、合併が具体的に問題になったとき、この発言のために瀬戸田町は極めて不利な立場に立たされることは自明だろう。

 町長選は、町長辞職後50日以内に実施される。町長の方針転換と出馬宣言は、リコール運動をはじめた住民の怒りをいっそう掻きたてずにはおかないだろう。

[ CM ]
【時局講演】会亀井静香元政調会長・小泉首相は神様ではない

E

トラックバック