道の駅に盛られて涼しきナシ・リンゴ買わないはずの旅の荷重し

掲載号 04年09月04日号

前の記事: “幕末本因坊伝【12】秀策に纏わる短編集「本因坊家も手元宜しからず」
次の記事: “ヴァイオリニスト佐藤陽子コンサート 10月22日市民会館

池本 滝子

 旅をして珍しいみやげ物を買うのも楽しみの一つである。この歌はナシやリンゴが一盛り幾らと並べられているところからみて季節は秋である。あまりにも新鮮でおいしそうなのでついつい買ってしまった。「あーら私としたことが、また買ったわよ、買わない買わないと言い聞かせていたのに」、と三個入ったナシの袋を手に下げて車に戻っているのである。心の中ではそれほどに反省はしていないようだ。

 道路地図を開いて見ると日本全国どこまで行っても「道の駅」が書き込まれてある。しかも色ちがいで大きく記入してある。備後地方では沼隈町にある。一泊二日くらいの旅、自家用車での家族とのドライブなどでこの「道の駅」に立ち寄るのが楽しみで、休憩所在り、トイレあり、喫茶店、食堂、農産物、海産物、山菜の旬の物、山野草、木工品などなどが所狭しと並べ売られている。何もかもが新鮮で、畑の土の匂い、山の匂いのするものが朝露をしたたらせながら売られている。この「道の駅」に立ち寄るお客さんも心得たもので、午前中が勝負で午後になれば品薄、売れ切れを知っているので、品物を見ながらスーパーの値段、鮮度と比べながらの判断というところだろう。

 「道の駅」という売り場が地方の国道筋にちらちら眼につき出したのは、ここ十年くらいかな、と何年か前に建設中と標示のあったのが思い出される。全国に百カ所くらい在るところから見て国土交通省あたりのお声がかりかと思ったりしたが定かではないが、地方の掘り起こし、物の流通に大きな役割を果している。

(執筆者・池田友幸

E

トラックバック