まとまった預金おろせば局員が オレオレでないかと問う目真剣

掲載号 04年08月28日号

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村上 宗子

 まとまった銭とは言っても人それぞれの金銭感覚に多少の違いがあって、普通に考えられるのは百万のくらいでは、と思われる。この作者は入り用があって郵便預金からではあるが、キャッシュカードを使わずに、払い出し用紙(預金通帳)に記入しその手続きをしていたのだろう。郵便局の人(局長かも)もオレオレ詐欺事件が頻発している時だけにもしや、と思い問い返したのである。

 「○○さん、あなたオレオレ詐欺に気を付けてね。」、と言ったのかも知れない。軽い気持の冗談かと思い、よくよく局員さんの顔を見ると真剣そのものの顔であった。作者と郵便局の人は日ごろからの顔見知りでもあるし、払出しの金額や作者の年齢を見てふっとオレオレ事件が思われて心配になったのである。

 オレオレと言う電話を通してその事件が頻発し出してからもう三年になるだろう。以前の詐欺と言えば、物売りや投資的なものなどがほとんどであったが、時代と共に詐欺の内容も変化してゆく。ケータイ電話の出現と共に、頭脳的にしかも手軽な新戦術のオレオレ詐欺が出現したのである。初めてオレオレを電波で送った人は恐らく成功してほくそ笑んだことだろう。一件成功すると次々とやったことと思われる。新聞やテレビで発生件数や損害金額を言っていたが億の金額であった。孫という存在、孫に対する甘さ、祖母と孫べったりのつながり、高齢者の感性、知性の鈍化もオレオレ詐欺が生まれる弱点となっている。メディアから言われていたが、近ごろはオレオレの声のあとに交通課のニセ警察官が出たり、ニセ被害者が受話器に現われたりするようである。

(執筆者・池田友幸

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