河川敷に花壇作られアジサイが川の流れに色を添えいる

掲載号 04年07月03日号

前の記事: “幕末本因坊伝【6】秀策に纏わる短編集 悲運の第十四世秀和「名人碁所をめぐる大一番」
次の記事: “田熊小児童バス見学会 マイカー時代の体験学習

村上美和子

 この河川敷は福山の芦田川か、三原の沼田川かも知れない。作者は川土手の道を車で走りながら見て詠まれた一首と思われる。河川敷の川の流れに添って花壇を作り、アジサイの花を植えられるということは余程にアジサイの花が好きな人ではないだろうか。アジサイの花は実を結ぶのがほとんどであるがまれには結実しない品種もあるようだ。実生を栽培するよりも挿木の方が手っ取り早いのでみんな挿木で培やしている。蛇行する川の流れに沿ってアジサイを植え付けても挿木からすると見られるまでには四、五年は充分かかるものである。

 河川敷も含めた川の風景の中には川床、河川敷、橋、土手、流水があってはじめて川の風景と言えるのである。どんよりとした薄曇りの梅雨空をそのままに映した川の流れは意外としらしらとした鏡となっていて、水辺に植えられているアジサイの花を浮き立たせている。大きな毬のような西洋アジサイ、日本に昔からあるヤマアジサイは、花柄は小形である。何百メートルか流水の岸辺にその花姿を投影しながら続いており、アジアサイ川と命名してもよいほどの花の連続である。

 アジサイの花の咲き初めから終るまでには十日も十五日も花持ちがよく、白から赤、ピンク、赤紫、青と変化することから七変化とも言われている。近ごろはバイオ技術による品種改良や交配も行われており、いまでは数百の品種があるようである。同じアジサイでもアマチャ・アジサイというのがある。五月の薬師花祭りに出されるアマチャは、アマチャ・アジサイの幹を乾燥させたものを使用しており、生の葉を千切って噛んでも甘さが口に残る。

(執筆者・池田友幸

E

トラックバック