澄みきりし五月の風も鶯も草刈るわれにまつわりつける

掲載号 04年06月26日号

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朝倉 公子

 桜の花どきの雨から、四月下旬ごろに降る雨のことを「うのはな腐し」または「花腐し」(はなくたし)と言うように、長雨のことを言っている。五月の連休近くになるといつしか晴天の日が続くようになって来て、山からも海からも風が薫風を連れて来てくれる。四、五日前まで降りつづいていた花を腐らすような雨の湿っぽさも嘘のような晴天続きになって来た。

 今日こそはと思って、手鎌を二、三丁朝早くから研いではいたのだが、草を刈る手先がおもしろいように動いて、思わず口笛でも吹きたくなって来る。私の草を刈る動きに併せるかのように、風の流れもここちよく、頭上からの鶯の声も春先のような稚さは無く、堂々と澄み透っていて、風の動きも鶯の鳴き音も、いかにも私を励ましてくれる。

(執筆者・池田友幸

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