いずこより散り来しものや紫の藤の花踏む天主への道

掲載号 04年05月15日号

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山崎 勝代

 藤の花の咲く時期は、瀬戸内海の沿岸と山地とでは十日以上も開花が異なっている。

 このお城はどこの城か、備中松山城のような山岳城もあれば、姫路城のような平野城もある。作者は城の石垣に添って幅広の石段を天主へと向って歩いていると、どこから散って来たのか紫色の今散ったかのような新鮮な藤のこぼれ花に出会った。もう何人かの人が踏んで通ったのか少し乱れていた。上段の天主の広場には藤棚が設えてあるかも知れないと思いながらふっと青い空を仰ぐと花びらが二、三片散って来た。ちょっぴり急な城郭道だ。よくも毎日を昔の武人どもは歩いて登城していたものよ、と自分の脚力とひき比べているのである。

(執筆者・池田友幸

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