帰り来し猫が廊下を歩いてる ちょっと気どってモンローウォーク

掲載号 04年04月17日号

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三木 啓子

 飼い猫が朝帰りしてのご愛想に一と声上げながら廊下を歩いている情景である。雄猫か雌猫かは言ってはいないが、この歌の場合は雌にしておこう。腹が減ったのか人恋しくなったのか帰って来たのである。

 猫の歩き方には足音がほとんどしない。耳を澄まして聞いているとペタペタというかすかな足音である。用ありげにちょっと立ち止まり、また歩き出したのである。その姿はまさにモンローウォークそのものである。猫科の動物特有の体のしなりが滑らかで、大きく腰をゆすっている。マリリンモンローが映画の中で見せた肢体である。このモンローウォークは和製語である。夏目漱石の「我輩は猫である」には及ばないが、飼い猫を見ている作者の視線は猫を擬人体としての把え方があって、一般的な「猫かわいがり」的な内容から一歩出ていて面白い一首である。

 猫は夜行性であるので、夏は涼しい処で、冬は日当りで昼寝しているのを見かける。とくに一軒建ての家や田舎の家では、周囲が畑や山であるために、専ら出歩きをしている。こんな環境は猫達にとって最高である。近頃はとくにペットブームで、猫や犬を飼っている家が多く、私は猫党、私は犬党と言う人もあるが、両方飼っている人も珍しくはない。猫は犬のように散歩は無いがそれなりの処理の仕方や、近所への配慮に気を使っておられるようだ。また、ペットのかわいがり方も、門外漢から見ると異常に見えるときがある。人に言うように敬語を使う。頬ずりをする。体を舐められる。何ごとにも好きという一語の中に常識を越えたものがあり、ペット様さまの世の中である。

(執筆者・池田友幸

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映画ナイアガラよりモンローウォーク

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