因島・瀬戸田の合併が再浮上「合併を考える会」が主導権にぎる 因島・瀬戸田の合併協設置決まる

掲載号 03年08月10日号

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因島市開票結果  賛成8324票 反対1452票
瀬戸田町開票結果 賛成3506票 反対3145票

 合併特例法に基づく因島市と瀬戸田町の法定合併協議会(法定協)設置の賛否を問う住民投票は10日、両市町で行なわれ、即日開票の結果、賛成票が過半数となり法定協設置が決まった。

 これで、がまんを重ねながら瀬戸田町との合併協を望んでいた因島市の願いはかなったが、瀬戸田町は町長や町議会の多数が三原広域合併を志向しており、合併協議が順調に進むかどうかはこれからの課題になる

 さらに三原広域法定協は瀬戸田町を配慮して盆明けの19日に設置することになっている。すでに三原、本郷、久井の1市2町は任意協から法定協へと合併協議が進み「瀬戸田町の加入について門戸を開いている」というものの神経をとがらせている。

 その事情の一つに、三原市議会仁ノ岡範之議長は「不安定なまま加入して途中退場することになる可能性がある」と懸念する。柴田大三郎町長は7月11日に三原市長を訪ね「何らかの形で任意協にかかわりたい」と打診した。

 五藤康之市長は「住民投票で町民の意向を見届けた段階で話をしたい」という意向を伝えた。

 こうした背景などから法的には、瀬戸田町が県が示している三原広域の法定協と住民投票で決まった因島市との合併法定協の2つに参加することは可能だが、現実的には極めて困難なことになった。

島の合併に民意の審判

 因島市と瀬戸田町の合併問題は新しい話ではない。県が示した合併の枠組みは瀬戸田町が3つ、因島が2つあった。このうち尾道広域が消え、因島は瀬戸田町だけが残り、瀬戸田町は因島と三原の2つが残った。

 昨年の3月、柴田大三郎町長は因島市との合併研究会を断り、三原広域の任意協に参加することを決めた。

 ところが瀬戸田町議会の単独町制を望む議員や尾道、因島との合併派が相手先をめぐり紛糾。町長の思惑がはずれた。

 町議会の混乱は三原広域の合併に関する住民の意見書や陳情、合併特例法に基づく因島との法定協設置請求などことごとく無視した。

 1年半近くに及ぶ合併論議は、今春の町長、議会の選挙で三原合併派が優勢になったが、住民の2度にわたる署名活動による因島市と瀬戸田町の法定協設置の住民投票に持ち込まれた。

 結果は、住民の力を借りて態度を決めたということになった。

 町が1昨年12月に公表したアンケートでは、三原広域を望む住民が41.6%でトップ。尾道広域17.2%因島17.0%で合わせると34.2%。このほかアンケートの項目になかったが単独町制のままを望む人たちもいた。

 アンケートの数字からは三原派が断然優勢のはずだったが、反三原派連合が因島市との法定協設置賛成を投じた結果となった。

しまなみ沿線の新しい海上都市

 平成の大合併のあとに控えているのは道州制。そんなに遠くない話である。そして瀬戸田と因島がまず一緒になって尾道広域、さらには尾三広域圏の合併構想は非現実的なものではない。

 将来を見据えた段階合併構想は政治行政にたずさわる人たちなら常識的な考えの一つである。

 いよいよ、因島・瀬戸田の島同士の法定協議会が設置されるが、昨年3月までは両市町の職員により約千項目近い合併に必要な資料が検討されていた。

 対等合併の条件だから新しく合併する市の名前や市庁舎の位置、議員や職員の定数などが協議される。当然のことながら旧市町の財産、借金の問題。住民の生活、メリットとデメリットを公開する必要がある。結婚も合併も「こんなはずでなかったのに」となれば悲しい。

民意を受け止めしまなみ海道軸に島の将来像を模索

 「いままで辛抱強く待った甲斐があった」と相好をくずす村上和弘市長。

 昨年3月市会を数日後に控えて突然、柴田瀬戸田町長から両市町の合併研究会打ち切りを告げられた。

 当初は県境を越えて上島四島との合併を模索。尾道広域も打診した。亀田尾道市長は、まず瀬戸田町と因島市が合併。段階を経て尾道合併を考えるのが地域の生活文化からも自然ではなかろうか―と、アドバイスを受けた。

 「どうしても」ということなら尾道広域もあり得る西瀬戸自動車道「しまなみ海道」全通により架橋の恩恵を享受。橋が結ぶ島々がお互いに手をつないで将来像を描く責任があるはず。しまなみ海道沿線の観光面で一番潤ったのは瀬戸田町。そのピークが終ったからといって「しまなみに背を向けることはないだろう」と亀田市長はひゆする。村上因島市長とは大学の同窓ということもあり腹をわった話ができる仲。民意による合併の責任は重い。早急に遅れを取り戻すのにかなりの精力が必要だ。

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