ヤマ場を迎えた合併選択肢の論点【2】10日合併めぐる通過点の住民投票 瀬戸田町三原派巻き返しに懸命 8日現在の不在者投票が因島市421人、瀬戸田町356人

掲載号 03年08月09日号

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 橋でつながった因島・瀬戸田の1市1町合併の是非を問う住民投票は10日、両市町で実施され、即日開票される。賛成投票が半数以上あれば両市町の法定合併協議会が設置され、どちらかが過半数に不足するとこの話はご破算になる。

 瀬戸田町は、どちらになっても19日設立する三原広域合併の法定協に駆け込むが、因島市は結果次第で尾道広域編入を模索することになり、しまなみ海道を軸とした合併構想が崩れ再考を迫られる。

法定協設置 関心薄い有権者

 県も罪なことをしたものだ。当初の合併枠組のパターンを尾道広域の中に因島・瀬戸田の1市1町を組み込んだ。このほかに瀬戸田町は三原広域という別枠を示した。単独で生き残ることはアメとムチの合併特別法によれば非現実性が高い。

 架橋で結ばれた「しまなみ海道」を軸に考える尾道広域。さらには中国横断道尾道―松江線建設による中四国横断ルートをにらんだ地域づくりにそっぽを向き、因島市との合併研究会も去っていった柴田大三郎瀬戸田町長は三原広域参加を選択した。

 ところが、町議会が待ったをかけ、今春の町長、町会議員選挙で三原派が優勢になったものの因島派の切り札として住民投票というハードルを持ち込んだ。

 当初、因島・瀬戸田の合併を目指す「合併を考える会」は2度に及ぶ署名活動を重ね有権者の3分の1に近い賛同を得ているので有利とみていた。しかも、瀬戸田町は三原広域と因島との1市1町のどちらの法定協にも入れるので2つの選択肢が与えられる。

 こうした背景もあって、表面上は両派のチラシや宣伝カーの呼びかけで瀬戸田町が二分されているように見えるが、8日現在、不在者投票が因島市421人で知事選をやや下回り、瀬戸田町356人で大幅に上回った。

 ちなみに知事選の投票率は因島38.5%、瀬戸田町41.34%で、今回の住民投票は投票率にかかわらず過半数あれば設置の可否が決まる。とはいっても50%以下の投票率で民意といえるのか―という疑問も出そうだ。

法定協即合併という誤解も

 法定協は合併に向け、市と町の首長、議会や住民代表が話し合う機関である。

 例えば、因島市と瀬戸田町の場合、対等合併になるだろうから新しい市の名称や市庁舎の位置、公共料金職員や議員定数など千項目前後の協議をすることになる。しかも因島市議会と瀬戸田町議会は4月に住民署名による法定協設置を否決しており、住民投票の受け止め方にも不安が残る。法定協の合意事項が両議会に諮られた段階で否決されることも考えられる。場合によっては対立のまま解散というケースもあるが、法定協即合併という誤解も生れている。

 住民が自主的合併をとなえても進まない問題もあり、首長、議員の決断も必要だがしっかりした合併後のビジョンを示すことが大切だ。

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