三原合併任意協参加めぐり 混迷を深める瀬戸田町議会 課題山積のまま見切り発車

掲載号 03年07月05日号

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 瀬戸田町議会は、三原広域合併推進協議会(任意協)への加入をめぐって混乱と混迷がつづいている。

 26日住民28人が、早急な三原任意協への加入を求める「三原広域合併任意協議会参加に関する請願」を提出。翌28日「合併を考える会」が、「三原広域合併推進協議会への早期加入の自粛を求める請願書」を提出「瀬戸田町と因島市の法定合併協議会の是非を問う住民投票の結果がでるまで加入を待つべき」と、している。

三原任意協へ駆けこみ模索

 同町議会は、2つの請願書を合併問題調査特別委員会(向山達夫委員長)に付託。同委員会は、5日にも2つの請願の審査を終了し、三原任意協加入を急ごうとしている。14日の三原任意協に駆け込み参加を模索している。

 しかしこれは、8月上旬に行われる住民投票を前に議会の「公平中立性」を問う問題に発展しかねない。さらに柴田町長が三原広域任意協加入を強行すれば、住民投票による因島市との合併法定協との2つに加入という、異例の事態を生みだし、いっそうの泥沼に足を踏み入れることは必至である。

無為無策が泥沼状態に

 瀬戸田町の合併紛争が始まったのは昨年3月、柴田大三郎町長が因島市との合併研究会を打ち切り、三原広域を表明してからである。広島県が瀬戸田町に示したは、

(1)尾道、因島、御調向島、瀬戸田の2市3町
(2)因島との1市1町
(3)三原、本郷、久井との1市3町の合併パターン。

 尾道市が早々と1市2町に踏み切り、因島と瀬戸田は一緒になったうえでおいでなさいとの意向を表明。

 これをうけて平成13年9月、因島市と瀬戸田町は合併研究会を発足させ、両市町の職員は合同勉強会を開始した。ところが柴田町長は、突然「三原広域」を選択すると表明。

町議会3分裂

 しかし、町議会は

▽三原広域
▽単独町政維持
▽因島の3つ

 に分裂。町長の思惑ははずれ、議会は三原広域任意協参加を否決。4月の町長選で柴田現職が62票差であったが、勝利した。町議会も三原派が議席を増やした。町長は三原広域任意協加入を急ごうとした。

 ところが、それにまったをかけたのは、因島市と瀬戸田町の合併法定協議会設置の是非を問う住民投票を確定させた町民たちである。

 町民の意見は完全に分裂している。町長はその解消のために動かないばかりか「三原任意協加入の遅れは不利な合併をもたらす」と強弁し、分裂の火に油を注ぐしか策をもたない。

誰のための合併 原点にもどれ

 そもそも、瀬戸田町が三原広域に向かうには、あまりに多くの問題が山積している。ゴミ、消防、学校、県立病院、シトラスパークなど問題は放置されたままである。三原広域合併の将来性が一般的に強調されるものの、それが瀬戸田町の繁栄につながるという、具体的な説明はなされていない。

 こうした見切り発車の三原広域合併推進はいっそうの町民の離反と反乱を生みだすしかない。また合併相手先の不信と困惑を拡大するのみである。

 柴田町長は「町民に2度も合併の苦しみを味あわせたくない」から、因島との小規模な合併でなく、三原広域を選んだと語る。しかし合併が苦しいものなら、そのような合併はすべきでないではないか。未来があり、希望がもててはじめて住民本位の合併と言えるのではないだろうか。

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