選挙で決着しなかった合併論争 瀬戸田町民は62票差で現職支持 因島市の合併将来像仕切り直し

掲載号 03年05月03日号

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 平成の大合併もタイムリミットが迫ってきた。因島市長は瀬戸田との合併を望み、瀬戸田町長は三原広域を選択する首長が当選した。今回の統一選挙の結果いかんでは、因島市と瀬戸田町との1市1町の合併協議再開の希望もあったが、62票という僅差で現職町長が3選したため「故(もと)の木阿弥(もくあみ)」。むしろ足ぶみしていた瀬戸田町が三原広域に加入する条件が備わったという判断材料の一つにあげられる。

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 ―62票差。町民のアンケート調査などで自信を待っていた柴田大三郎町長(57)は「どうしてこういう結果になったのか分析しないといけない」と首をかしげる。

 「しまなみ軸」への合併支持票。つまり瀬戸田町民の半数は因島市や単独町制のままなど、いろんな思いがあったのだろうか―という自問自答である。

 その一方で、町議会の合併問題調査特別委員会は、単独町制で生き残ることは無理だろうという結論が煮詰まっている。と、なれば三原広域任意協に駆け込む選択肢もあるが、町民のなかには、町議会で否決された「瀬戸田町と因島市との合併協議会設置」について再度、住民署名運動を展開する動きもあり、62票差の選挙のしこりは合併枠組みをめぐり尾を引きそうだ。

因島市は再び合併アンケート

 因島市民と瀬戸田町民にとって一番いいのが「しまなみ軸」と将来像をにらんだ合併の枠組みだと信じてきた。瀬戸田町との合併が難しくなった以上、因島市民の将来に比重をかけて考えていくことになるだろう―と、大差で再選された村上和弘市長(56)は残念がる。

 そこで、当選間もない4月28日、合併の是非や望ましい相手先の市民意識を調査するアンケートを全戸に配布した。昨年に続き2度目の調査である。

 質問は「合併は必要か」相手先は「因島―瀬戸田町」「尾道広域2市3町」「その他」「わからない」の4項目。その他では「瀬戸田町を除く尾道広域」「愛媛県島しょ部1市1町3村」「その他の枠組み」を選ぶようになっている。

 区町会を通じて配布、5月6日までを回答期限とし集計結果を公表、市内各地で説明会を開く。

市と町議会に住民が再挑戦

 因島市と瀬戸田町の議会に「待った」をかける住民署名運動の再挑戦が近く再開する。

 両市町の住民団体「合併を考える会」が法的な手続きのもとに署名運動した因島市と瀬戸田町の合併協議会を設置する請求をした。

 ところが、町議会は9対3、市議会は10対8で住民請求を否決した。その理由に「瀬戸田町は因島市との合併を望んでいない。協議会を設置しての市と町の感情的なもつれがあり円滑な協議が望めない」というわけ。これに対し、住民請求側は「政治的にこじれさせ、住民の思いがとどいていない」と反論。首長選挙の争点になった。瀬戸田町選は62票という結果にあきらめ切れない両市町合併推進住民は有権者の6分の1の署名を集め再度の請求、さらに住民投票、場合によれば議会リコール運動へ発展する雲行きだ。

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