市町村合併は島の過疎化を救えるか【2】 三原任意協に乗り遅れた瀬戸田町 対等合併思惑外れ焦りといら立ち

掲載号 02年09月07日号

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 一票差で三原広域合併の任意協参加を封じ込められた豊田郡瀬戸田町の合併賛成派。起死回生を計って向山達夫議長辞職で逆襲ねらった。この計略にうかつに乗れないので合併反対派から議長を選出できない。

 空席の議長選出議題をめぐって8月19日に開会した同町臨時会は空転を続け会期延長が5回(5日間)も繰り返された。

 この間、柴田大三郎町長と歩調を合わせていた向山前議長が三原広域合併を選択肢に掲げていた「三原―瀬戸田架橋」は藤田知事から実現の可能性が薄いと判断された。対等合併についても三原広域任意協の事務局提案は「編入合併」が示された町長発言に疑問を抱く町民の声が噴出してきた。

 これに対し、柴田町長は「任意協に入れたら対等による”新設合併”を主張する」と苦しい答弁。高根―三原間の架橋がだめなら現在三原市の佐木島経由の架橋を・・・と、述べる。

 いづれにしても説得力に欠けるが「しまなみ海道」を視野に入れた合併構想は考えていないようだ。

広域行政と 住民の生活

 いとも簡単に因島市と瀬戸田町の対等合併「新設市」の研究会を断り、三原広域を選択した柴田町長と向山前議長だが、両市町で広域行政法人として運営されているゴミ処理やリサイクル、消防、中学校については今後の対応にふれていない。

 瀬戸田町が三原市と、因島市が尾道市と合併すれば三原と尾道で問題解決を図ればよかろうという安易な考えでは責任を問われるのではなかろうか。個別の事務や複数事務の共同処理の話なら対応もできよう。しかし、政治がからみ一元化し、サイフと計画を一つにしないとまちづくりや行政改革はできない。ハード、ソフトを含めたまちづくりの共同化は小規模自治体には欠かせない問題である。いまは県境を超えた行政サービスの展開事業まで広がる時代で、政策連携を地域づくりにつないでいくために市町村合併の一つの目標ともいえる。さらには、そこまで踏み込まずとも地域づくりができる時代であるかどうかである。

合併の規模

 明治の大合併は、村に小学校が設置できる人口800人以上をめどにしたといわれる。敗戦後の昭和の大合併はひとつの町村で中学校が運営できる8000人以上がめどだった。ところで平成の大合併はというと、政府は明示していないようだ。「自主合併」が基本だということらしい。例えば、高校を設置できる人口は10万人だから、それを基準に考えるのが望ましいかもしれない。だが、小中学校と異なり市町村にはその実感はない。高校の多くは県が設置しているからである。現行の地方交付税の交付についての標準団体が10万人であるからそれ以上が望ましいことになる。

 これから厳しくなるダイオキシンを発生しない清掃工場の規模は10万から30万人。介護サービスの供給には20万人から30万人。その他さまざまな制約条件があるが15万人から30万人の規模が適正値のように思える。

 ところで、適正規模の人口になる合併組合わせをしているブロックが県内にいくつあるのだろうか。それに加え、交通網、時間の問題もある。

 いま、財政問題を前面にかかげて合併特例債で目先をしのごうという安易な考えで合併促進を働きかけている風潮があるが、合併で期待される効果や不安についても取り上げる必要があると思う。

合併特例法の 期限後の対応

 合併特例法の期限内に合併できなかった市町村についてはどうなるのだろうか。総務省の対応は

(1)小規模のまま残る市町村の権限を縮小する
(2)財政措置など抜きにして知事や政府の勧告あっせんなど権限を強めて合併を進める

 ―という論議になっている。つまり地方交付税の配分も小さくして将来の展望が描きにくい状況になる、と兵糧攻めをほのめかしている。

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