公共工事談合疑惑協議打ち切り 2日臨時市会で契約締結承認求む 入札制度改善求める市議会の声

掲載号 02年08月31日号

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 因島市は2日臨時市会を開き、三庄公民館と幼稚園・保育所合築施設の落札業者との契約締結議案を提案、議会の承認を求める。

 県道拡幅により新築される二つの施設は3月市会で建設予算を可決。請負業者の入札も終えた。6月市会には契約を結ぶ承認を日程にあげていたが、入札参加業者の中から市議会事務局へファックスで「談合があった」という訴えがあった。

 このため、契約承認の議案を取り下げて指名入札に参加した業者から事情聴取を始めた。その結果「談合の事実は認められなかった」と説明した。

 7月12日の全員協議会では一部の議員から「調査が甘い」と批判を受け、入札に参加した7共同企業体JVの計14社を再調査したが金山吉隆氏や村上博徳氏が追究する証拠は出なかった。

 これに対し、予定価格の事前公表など入札制度の改善を求める意見が出て市側は適正化に向け早急に努力する回答をしたが、反対意見の理解は得られなかった。

 さらに談合を裏付ける証拠があるという業者から録音テープを提出させ市側の解明を求めた。

尾を引く内部告発

 8月26日、全員協議会で生々しい録音テープが公開された。冒頭、因島建設協会内部の会話が公開された。雑音が多くて聞き取れない部分があった。電話で不服を訴える業者と市の担当課長のやりとりは、あらかじめ準備していた録音で聞き安い。

 証拠としての信用性についての判断はむずかしいが市は内容を吟味した結果、談合の事実を認められないという見解を示した。その上で「公正取引委員会などが違法の判断を示した場合は断固とした対応を取る」と、契約締結の承認を求めた。

 「白が証明できなければ黒」「疑わしきは執行せず」と、追究の手をゆるめない村上博徳氏は「落札業者の積算根拠を示す見積もり内訳書を公表。できないのなら秘密会にしても・・・」と執拗に迫った。

 市は「業者の同意がない以上、企業秘密であるので出せない」と繰り返し答弁した。

 こうして、2か月に及ぶ調査も具体的に談合を立証できる証拠内容はなく協議は打ち切られ市議会本会議に持ち越された。

 傍聴席にいた建設協会役員らは「事実無根。請負業者としても工事日程が2か月も遅れているので気がかりだ」と心情を明かす。

 三庄町の両施設の入札は6月初め市内外の計14業者が話し合って7つのJVを組んで参加した。入札があった後になってJV組み合わせに不満を持った業者から「談合に疑いあり」と内部告発して工事契約がタナ上げされてきた。「談合事実は認められない」という決着に「おさわがせしました」でおさまればいいが入札制度と談合問題は尾を引きそうだ。

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