囲碁のまち因島に「先見の明」 プロ・アマの県外参加で大盛況 小、中、高の若年層にも手応え

掲載号 02年08月03日号

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 本因坊秀策囲碁まつりの前夜祭の27日夜。日立会館5階で開かれた市技制定5周年記念祝賀会の席上、プロ棋士たちが「一にも二にも子供たち。小、中学校に普及していくことが囲碁人口を永久的に増やしていくことになる。できたら幼稚園や保育所にも・・・」と、熱っぽく語る。

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 「有り難いことには、因島市にその土壌がある。さらに、偉大な秀策先生や昭和のアマ名人、村上文祥さんという因島輩出の先輩は囲碁の天才というだけでなく人間的に屈折のない、ふところの広さのようなものがある。だから私たちプロは因島にやってくるのです」とつけ加える。
 秀策は3歳で母から手ほどきを受け、文祥は幼児ののころ祖父のヒザの上で囲碁をおぼえたと伝えられることからうなづける。

因高囲碁部をプロ棋士指導

 因島市が囲碁を市技に制定したことで、小・中学生のクラブ活動が始まった。
 指導者は同市囲碁協会の高段者。本格的に基礎から教えるので生徒たちものみ込みが早い。始めて1年ほどで有段者になる中学生も出た。この生徒たちを島外に放出することはないと、地元の因島高校進学をすすめた。
 県立因島高校は今春から休部していた囲碁部を復活させた。6月には高校囲碁選手権県予選に出場、準優勝した。部員全員が1年生で、来年は全国大会出場、優勝も夢ではない。
 こうしたことから、本因坊秀策杯参加の日本棋院、山本賢太郎四段(21)と中国素人本因坊、四方治雄さん(48)が一足早く因島を訪れ、日に因高囲碁部を指導した。
 山本四段は「基礎がしっかりして積極性があり個性を持っている」と部員の素質に「二重丸」をつけた。
 囲碁人口三千とも三千五百人ともいわれる因島。本因坊秀策にあやかる御菓子や地酒も出来た。シンボルマークをデザインしたTシャツも好評発売中。それらを支える「碁ランティア」や大会運営のボランティア団体。秀策生家の復元計画など、囲碁のまちづくりは今「上げ潮」といっていい。

全国から参加 6階級で競う

 28日午前9時開会した本因坊秀策囲碁まつりは老若男女340人のアマ棋士が6クラスにエントリーされ熱戦が繰りひろげられた。
このほか、市民会館ロビーのプロ棋士による指導碁も定着した人気番組。アマ有段者を一度に3―5面打ち。アマから考えると神業(かみわざ)で、観戦するファンで人だかりができるほど。
 大会は、女性や高、中学生の棋力が注目されたが入賞に及ばず、レベルの高い内容となっている。成績次の通り。

[6段以上]

【1位】比良公司(廿日市)
【2位】森脇英男(三原市)
【3位】千神通弘(笠岡市)

[4・5段]

【1位】石原剛(土生町)
【2位】冠野誠(尾道市)
【3位】今田實(三原市)立川統章(同)

[3段]

【1位】柏原弘(田熊町)
【2位】矢野義春(倉敷市)
【3位】高橋吉美(向島町)藤川吉久(福山市)

[2段]

【1位】福原哲夫(洲江町)
【2位】玉本優貴(竹原市)【3位】橋本喜洋(中庄町)

[初段]

【1位】石村昌道(新浜市)
【2位】井原光夫(岡山市)
【3位】谷辺俊幸(福山市)

[級位]

【1位】松浦輝夫4級(田熊町)
【2位】川崎雅夫8級(広島市)
【3位】金子功2級(尾道市)

写真=祝賀会席上のプロ・アマ秀策杯の組合せ抽選会と人だかりの指導碁会場。

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