大事なく過ぎたる去年を幸せと朝光(かげ)のなかに四方(よも)仰ぎ立つ

掲載号 06年01月07日号

前の記事: “新しい歴史の幕開けを祈る
次の記事: “懐かしいたたずまいと笑顔で嬉しいおもてなし 有限会社びんご倶楽部取締役社長・菅近信

安川二三子

 初日の出が毎年のように拝めるものではなく、雨の朝も曇りの朝もある。歌のなかに朝光とあるから、よく晴れた日にちがいない。「ああ有り難いありがたい」と独りごとを言いながら、晴れ渡った空を見上げている。特に「私」の体は、病院通いをしてはいるが流感にもかからない、まあまあの年であった。また、身内の者(子供達)にも心配するようなことも無い一年であった。加齢と共に体力の衰えるのは仕方ないことだが、今年も健康第一として、心配ごとのない三度の食事のおいしく預ける年にしたいものだ、と思いながらささやかな新年の誓いをしているのである。

 小学校の頃(昭和十年)の記憶に、一月一日に生徒全員が先生の号令と共に、東方遥拝と四方拝をしていたのを思い出す。先生の言われるままに何の疑問も持たずにやってはいたのだが、それとなく父や母の言っているのを聞くと、お日様や畑や山にお礼を言っているのだと解った。

 四方拝ということについて一寸調べてみた。俳句の季語にも、元旦に天皇が神嘉殿(しんかでん)において天地四方を遥拝される儀式であるとあった。

 戦前には、元旦の四方拝・紀元節(神武天皇即位の日)・天長節(天皇生誕の日)・明治節(明治天皇生誕の日)の四大節と言われ憲法に制定にされ、日本国こぞっての祝日であった。

 第二次大戦(敗戦)後の1947年から、国民の祝日として元旦の祝日をはじめ、年間14回という多くの祝日が制定されるようになった。だが、大正生れの者には時代が変り、祝日が変っても大自然の恵みへの感謝の心は忘れてはいない。

池田友幸

E

トラックバック