日本再生のため何が必要か 政治評論家 森田実【2】

掲載号 05年07月30日号

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ポスト小泉 中心的課題

 私は月刊誌「文芸春秋」5月号のアンケートに次期首相に亀井静香元政調会長を推薦しました。ところが、この記事に関して旧友から、私の言論に対する批判の手紙をいただきました。「亀井静香氏を次期総理に推薦した、あなたの考えに失望しました。」という批判内容です。こうした批判はよくあることですが、この機会に私の考えを説明しておきます。

 すでに文芸春秋を読まれた方もおられることでしょうが、要約しますと「一貫した小泉批判を評価」森田実政治評論家―ポスト小泉政権の中心的課題は、歪められ破壊された日本の社会経済の再建をはかることにある。これを実行するにふさわしいのは小泉政治を否定する信念・価値観・政策体系を持つ政治家である。それらを一貫して主張してきたのが亀井静香氏。首相にふさわしい高い見識と強い信念と勇気がある。不足しているのはマスコミの人気だけだが、政権が変わればマスコミはすぐ変身して支持に回る。亀井内閣ができれば、小泉政治が切り捨てた恵まれざる人々が政治の中に帰ってくる。地方が活性化され日本再生の第一歩が切り開かれるだろう―。これが、ポスト小泉首相候補といわれる政治家について、入手できる資料を集めて調べた結果の答えでした。

もののふ闘将亀井静香

 政治家の考えを知る上で役立つのがホームページと「夕刊フジ」です。いろんな政治家がコラムを書いています。亀井さんは「闘将亀井静香のこれから勝負だ」と題するコラムを持っています。

 私は、亀井さんと直接議論する機会はほとんどありません。一年に一度くらい雑誌のインタビューを行いますが、それも30分ぐらいです。亀井さんに限らず政治家は多忙です。とくに幹部は忙しい。そこで、著名雑誌や新聞のインタビュー記事を読んで指導的政治家の考えを知るよう努めています。4月23日の「郵政民営化の茶番暴走」と題する亀井論文も私の考えが驚くほど似ていました。世の中には、交わらなくても同じ考えを持つ人がいるものだなあ―と、不思議な感じがしました。

 亀井さんは『首相や側近議員らは「解散総選挙」をチラつかせて恫喝している年金改革や経済対策。北朝鮮外交といった課題が山積するなか、国民的関心の低い法案が否決されたからといって解散するなど「政治テロ」以外の何ものでもない。解散を恐れて信念を曲げるような輩(やから)は政治家でない。私は断固として戦う』

 亀井さんのこの姿勢を私は支持したい。政治家は、”もののふ”でなければならない。それを亀井さんに感じているわけです。

”殿ご乱心”朝貢外交のツケ

 そもそも、今回の自民党内部の紛争は、小泉首相が英国グレンイーグルス・サミットの際ブッシュ大統領に対して”いい格好”をしたいために郵政民営化法案通過を急いだ結果である。小泉首相は、郵政民営化がブッシュとの日米首脳会談での約束であることを国民に言うべきである。アメリカのハゲタカファンドについては、340兆円の郵貯の流出は羨望の的。日本国の利益よりもアメリカの要望を優先させる「大義なき郵政民営化」を大新聞やテレビは国民に知らそうとしない。

 中央のマスコミの記者たちは、地方がなぜ郵政民営化に反対するか実感していない。理解しようともしない。東京にいるマスコミのエリート記者たちは、地方がどんなに苦しんでいるか知らない。

 日本国民のための報道機関でなく、東京にいる指導層、すなわち小泉政権、省庁、財界、公明党・創価学会のための報道機関になっている。大マスコミは米国の政治権力と米国ファンドのコントロールを受けていることに注目しなければならない。

森田実プロフィール

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 1932年(昭和7)年静岡県伊東市生まれ。東京大学工学部卒。日本評論社出版部長、経済セミナー編集長など経て73年から政治評論家として独立。講演、執筆活動、テレビ解説に出演。評論活動として自身のホームページをはじめ「四国新聞」森田実の政局観測「経済界」森田実の永田町風速計「先見経済」森田実の温故知新など。主な著書▽公共事業必要論(日本評論社)▽森田実 時代を斬る(同)

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