瀬戸田町長選告示日 二時間の波乱劇 町長職務代理の高本課長に白羽の矢 無競争工作に有権者賛否両論

掲載号 05年07月16日号

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高本訓司(こうもと・くんじ) 昭和45年瀬戸田町職員に採用。議会事務局長、総務課長など歴任。町長職務代理者。林。東京農大短大卒。


高本氏

 田頭秀生前町長の辞職に伴う瀬戸田町の出直し町長選は12日告示され、総務課長職を辞して立候補した高本訓司氏(56)が無投票で当選した。先に元環境衛生課長、脇本初雄氏(58)が立候補したが、高本氏の立候補をうけて締め切り前に辞退した。

 候補者不在が心配された町長選は一時、2候補者による選挙戦になると見られたが、一転して無投票になった。しかしこの過程では町民に理解できない舞台裏が見えかくれし、町民のなかに蔓延するシラケムードをさらに拡大させた。

候補不在の危機

 告示日の前日、元町長と議会正副議長が元助役を立候補するように説得。それは当日の午前2時ころまでつづいたが不調に終わり、候補者一本化の調整は御破算となった。候補者ゼロ状態が生れた。

 「誰も立候補しないなら」と、4日前に出馬を決意していた脇本氏がシビレをきらし、午前8時30分過ぎ「町長選に誰も出馬しないのは瀬戸田町民にとって恥ずかしい」として立候補届出を行ない、つづいて記者会見。「1日にも早く政治的空白を埋め、合併協議を進めていきたい」と立候補の動機を述べた。脇本氏は午後1時過ぎ、地元にあるサンセットビーチ駐車場に10数人の支持者を集め、第一声。


脇本氏

対抗馬に高本氏

 脇本氏の立候補に慌てたのは議会多数派である。個人的に立候補したというものの同氏は、前回の町長選挙において田頭秀生氏の有力な支持者であった。

 急いで午前中に、区町会にも受けが良い町長職務代理者の高本総務課長を説得し、対抗馬として担ぎ出すことに成功した。それは、元町長の意向を反映したものでもあった。

 午後3時過ぎ、高本氏は立候補を届出し、「町長職務代理者として合併協議について知りえている私のほうが町長にふさわしい」と記者会見。

 こうして候補者一本化失敗後2人が立候補し、当然選挙戦に突入するものと予想された。候補者一本化が実現しなかった以上、住民の選択にまかせるしかなくなった。本来選挙とは密室で決められるものはではなく有権者の選択にまかされるものであるからである。

 また、尾道市との合併を前にして蔓延する住民のシラケムードの実態に行政や町議会が気付かされるチャンスでもあった。それはおそらく投票率に劇的に反映したことだろう。

事態一変、無投票

 しかしながら事態は一変高本氏の立候補から約30分後、脇本氏は「町民の間の亀裂が心配。高本氏が合併を推進してくれるなら」と、立候補を取り下げた。午後5時高本氏の無投票当選が決定した。

 高本訓司新町長は、6カ月後に控えた合併について、「町民の融和をはかり合併の詰めの協議を進めたい」と抱負を語る。しかし前途は平坦ではない。支所問題など、どこまで通用するか手腕が問われる。

 尾道市との合併協議の立遅れの回復は容易でない。さらに深刻なのは、冷えきり、シラケきった住民意識であり、極度の政治不信である。

議会の責任追及 住民解散請求

 さらに、田頭前町長を体調不良で辞職に追い込み、町政を大混乱に落とし込んだ町議会の責任は放置されたままである。

 町民2人が8日、町議会解散請求を申請した。18日以降リコール運動を開始することができる。しかし申請した2人が田頭前町長を辞職に追いこんだ町議たちの支援者であることから、本気にリコール運動をする気があるのかと、訝る(いぶかる)人も多い。

 リコール不成立は議会信任を意味することから、事情通は「住民の怒りが町議会に向うことを避けるために仕組んだ茶番だ」と指摘する。

 来年1月の合併を控え、進行する町政からの町民の離反は深刻である。蔓延するシラケムードのなかで高本町政の成り行きが注目される。

(青木忠)

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