三度目の正直 依然見えない町長選 瀬戸田町民は対立回避を渇望 無競争統一候補擁立の模索が続く

掲載号 05年07月02日号

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 町民のシラケムードが蔓延するなかで、田頭秀生前町長の辞職に伴う瀬戸田町の出直し選挙(7月12日告示、17日投開票)を前に、町長選挙の泥沼化回避にむけて町をあげた統一候補擁立の模索が始まっている。

 合併直前の3度目の町長選という異常事態に対する町民の政治不信とあきらめ感は極限にたっしている。「どうせ合併するのだから町長なんかもういらん。全部尾道に任せりゃええ」という町長選挙不要論が、町民多数の偽らざる気持ちである。

政争脱皮―と生みの苦しみ

 こうした世論を背景に各勢力、各団体が、過去2回の町長選の再現を避けるための活動を始めている。田頭秀生後援会の飯田照男会長が6月24日、向井智昭町議会議長に「対立の構造を残さない町長の選出に尽力」という要望書を提出向井議長は「公職選挙法に反することはできないが、要望の趣旨は分かった。全議員に要望書を配る」と回答した。こうした雰囲気を反映して、同24日の立候補予定者説明会には申し合わせたように誰も出席しなかった。

 取材にたいして柴田大三郎前町長は6月29日、「立候補する気持ちはまったくない」と明言。昨年の町長選挙時の塚本尊・柴田後援会会長も「柴田氏と会っても選挙の話しはしないことにしている」と、そのことを裏づけた。また同後援会の幹部だった、井上晴光氏は「町民はシラケている」と指摘し、さらに野坂逸志氏も「今度の選挙は誰も得しない」と語った。

注目される町議会の出方

 田頭、柴田両陣営が自粛を強めるなかで、有識者や経済界を中心に「町民誰もが認める候補者」の擁立の動きが始まっている。その基本な考え方は、

  1. 絶対に選挙にしてはならない

  2. 誰もが抵抗感を感じない人

  3. 行政の中身を知っている、できるなら町長以外の三役経験者

という条件をつける。この動きには、「瀬戸田町を救え」という必死さがうかがえる。しかし、「問題は議会がどうするかだ」と顔を曇らせる人も多い。合併問題をめぐって議会は繰り返し、住民合意の形成を妨害してきた。絶えず民意に対して敵対をつづけてきた。町をあげた町長選をめぐる泥沼化回避の努力への敵対は、議会の自殺行為以外の何物でもないだろう。瀬戸田町町議会定例会(6月27日~30日)は閉会した。今後の町議会の出方が注目される。

(青木忠)

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