蜜蜂がカナブン連れて来る朝を私の中のバラ時間はじまる

掲載号 05年06月18日号

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若住瑞枝

 蜜蜂は昆虫の中でも人間に幸せをもたらす益虫の一つであるが、カナブンは同じ昆虫であっても果実や花や幹にとりつく害虫の方である。この歌の作者もカナブンには手を焼いているにちがいない。それを「蜜蜂がカナブン連れて来る」と言ったところにこの歌のおもしろさをつくり出している。

 詩とか小説というものは事実よりも嘘が多く虚実混同となってはいるが、人間が思い、考え、見る、という中の真実を大事にしている。だから、詩歌・小説・サスペンス(推理小説)といった類のものはおもしろい。この歌の主人公は日ごろバラ作りに力をそそいでいる人ではあるが、舞台の登場者に蜜蜂・カナブン・バラ・それに私が出ていて、それぞれに役割を構成しており、子供たちの童話にでもありそうな朝の虫たちとのひとときである。

 寝床のなかで今日の仕事(バラ作り)の時間配分を考えているのであろうか、昆虫たちが花の蜜や樹液を求めてやって来る時間だ、「よし!」、と自分で自分に声をかけながらの朝がはじまる「私の中のバラ時間はじまる」である。

 バラ作りも趣味の一つであって、充分にその趣味の中にのめりこむと、時間と金銭が必要である。手間やお金を惜しんでいては何んにもやれない。昔の道楽は、金銭を湯水のように使って、財産をとり潰していて、酒・女・賭けごとを三道楽と言っていたが、現在では趣味・道楽もかなり方向が違って来て、バラ作り、ガーデニング(園芸・庭造り)、貼り絵、写真、などなど多種多様である。これからは、高齢化・少子化と共に体も心も平常心を保つことの出来る趣味の方向性が問われる時代である。

(池田友幸)

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