3月尾道・因島合併調印控え 議員定数などめぐり不協和音 因島市行政推進員構想も浮上

掲載号 05年02月12日号

前の記事: “尾道と合併絡みの因島市議選挙 2年間で3度の改選バトル挑戦 第1ハードルは4月の20議席
次の記事: “因島市で囲碁第43期十段戦 王立誠十段と趙治勲本因坊

 来年1月の合併にむかって尾道市と因島市は、17日の第5回法定協議会で合併協定書を確認し、3月5日の合併調印に進もうとしている。調印後、両市議会は3月定例会で合併関連議案を議決する予定で、3月末までの知事申請をめざす。

 しかし、合併について大枠が承認されたものの細部についてはすべてが、調印後に先送りされる様相である。市役所が変る総合支所についても具体的な取り決めがあるわけではない。議員定数と任期についても同様である。見切り発車の調印になるのではという批判さえ出始めている。

秘密会議つづけ窮地にたつ議会

 合併協議が大詰めを迎えるにつれて因島市議会の合併議論はほとんどが公開されていない。市議会広域合併調査特別委員協議会はすべてが秘密会である。行政側も尾道市に遠慮して情報公開について極度に臆病になっている。官製の「合併協議会だより」は表面だけの「お知らせ」にしかすぎない。因島市議会は、この秘密主義がたたり、議員定数と任期問題で尾道市側にあしらわれ、自ら首をしめる結果になった。経過は次の通りである。

 まず尾道市側が因島側の議員定数について、「合併直後の増員選挙と翌年4月の一般選挙いずれと定数特例を適用し、因島選挙区8人とする」と提案。これに対して、平成19年の一般選挙では特に選挙区を設けない単一選挙区での選挙をのぞんでいた因島市議会は、「尾道がそこまで言うのならば」と、尾道案に同意した。ところが、御調町、向島町から異議が出されたことで尾道側はあっさりこの提案を撤回。さらに「定員特例の再適用にこだわっているのは因島市議会」とマスコミに流し、第4回法定協で定数34人を決めた。

 問題はここからである。この34人をどのように選ぶかである。尾道市は、尾道単独多数の合併成立直後の議会(定員45。尾道26、御調3、向島5、因島8、瀬戸田3)で決めたい意向である。しかもその内容は、単一選挙区ではなく、すべての地域に選挙区をもうけ尾道20、因島6、向島4、御調2、瀬戸田2の定員で行うとさえ言われている。この背景には、単一選挙区では尾道市側不利、島側有利の判断がある。尾道は20人など獲得できないと断言する人もいる。

水面下ですすむ行政推進員条例

 現在、因島市議会の秘密会最大のテーマは「因島市行政推進員設置条例」問題である。内容が非公開のまま協議がつづいており、議会内では賛否両論があるものの、合併関連議案が審議される3月定例会で提出される公算が強い。

 行政推進員とは何か。それに強く賛成する議員は次の通り説明する。この条例は、失職する議員救済のお手盛りではない。実質2カ月の合併協議では調印されても何も決まってないに等しい。法定協議会がなくなった後、因島市民の声を集約し、反映させるために必要。メンバーには4月の選挙に立候補しない現職議員が優先されるべきである。他方、批判の意見も強い。お手盛りとの市民の批判はまぬがれないという内容。4月市議選に立候補しない議員の救済ではないのか、というところに批判が集中している。

 たしかに、なぜ4月で引退する議員が優先されるのか、説得力に欠ける。立候補しない議員に市民が意見を託せるであろうか。さらにこうした動向は、4月市議会選挙の無投票化を意図した選挙干渉につながるとの指摘もある。「行政推進員条例」をめぐって、今後の行政と市議会の動向が注目される。

赤信号点滅の尾・瀬法定協

 尾道市と瀬戸田町の第3回法定協議会が8日、尾道市であったが、7項目が継続協議となった。その内容は、

  • 新市の事務所の位置

  • 新市建設計画

  • 財産

  • 組織・機構

  • 町名・字名

  • 自治組織

  • 福祉事業の取り扱い。
 「支所ではなく総合支所」という瀬戸田側の再度の要求に対し、尾道市が難色を示したまま会合は終了した。尾道側からは、合併特例債を受けられる3月末までの県知事申請を危惧する声が出始めた。

 瀬戸田町はこの問題で10日、合併問題調査特別委員会を開いた。田頭秀生町長は、総合支所への固執が合併を不調に終わらせると、取り下げを提案したが、議会側は納得せず、結論は持ち越された。尾道・瀬戸田の合併協議はまさに土壇場である。次回法定協は19日(土)午後2時、瀬戸田町宮原の生口島開発センター。

E

トラックバック