アメとムチで揺れ動く平成の大合併 因島市このままでは再建団体に転落 住民は尾道圏に飲み込まれると不安

掲載号 04年12月18日号

前の記事: “迷走する瀬戸田町議会 空席の助役人事を否決 尾道合併協議の遅滞狙う
次の記事: “せとうちライオンズ しまなみ苑入所者らと一足はやいクリスマス会

 尾道・因島の法定合併協議会の第2回会合が11日、因島市の芸予文化情報センターで開かれ、編入合併方式など基本5項目など7項目を承認した=写真=。

791onomichigappei.jpg

 因島を廃し、尾道市に編入する▽合併期日は平成18年1月10日▽新市名は尾道市▽尾道市役所を本庁、因島市役所を総合支所▽すべての因島市の財産を尾道市に引き継ぐ―とする基本5項目と一般、特別職の身分取り扱いの計7項目。まったく討論もなく全会一致で承認された。

 つづいて、ゴミ収集や水道事業など各種事務事業、介護保険、国民健康保険制度の取り扱いなど5項目が提案され、次回(1月11日尾道)協議される。提案内容は、ことごとく尾道市の制度に統一するというもの。編入(吸収)合併を前提とする以上、当然のことではあるが、傍聴におとずれた因島市民のなかから思わずため息がもれた。

 介護保険料や事業用の水道料金などが現行の因島市に比較し、値上りするために因島側委員から、因島の独自の事情を配慮した協議を要望する意見がだされた。さらに、因島市にある国の出先機関の存続を求める要望がだされた。編入といえども言うべきことは言わせてもらうと意気込むが「要望」が精一杯という気配である。

 次回会合では、最大の争点になる合併直後の議員定数問題の協議に入る予定。合併が成り立てば直ちに選挙区が設定されて因島代表議員を選出する選挙が始まる。この定員数の原案作成は両議会に任されており、因島市議会が何人を提示するか注目される。人口比からみて8人と予想されるものの、現行の20人から激減することで波乱含みと言える。

 ひと通りの住民説明会があり、12月広報に住民アンケートが折り込まれていたとはいえ、ほとんどの因島市民にとっては、瀬戸田から尾道市への合併相手先の転換は不意打ち同然。合併協議が進行し、尾道市との合併既成事実化が図られるものの、市民のためらいと動揺はいっこうにおさまらない。合意形成どころか編入合併の厳しい現実を知らされないまま、市民のイライラが募る年の暮れである。

E

トラックバック