住民投票の因島・瀬戸田合併協解散 尾道広域合併協議会設置へ急発進 市議会は首長の責任追及して賛成

掲載号 04年11月20日号

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 因島市議会は17日、臨時会を開き、尾道市との法定合併協議会を設置する議案を賛成多数で可決(賛成19反対1、欠席1)、さらに住民投票で設置された瀬戸田町との法定協の解散議案も全会一致で可決した。

 22の尾道市議会臨時会で因島市との法定協設置議案が可決されれば、両市の法定協は29日に設置され、30日に第一回の会合が開かれる予定。因・瀬法定協は29日に解散される見通し。

 村上和弘因島市長は、単独市制は難しく、住民サービスと住民福祉の維持のためには合併特例債は不可欠であり、来年3月の期限切れを前に、尾道市との法定協設置を急ぐ必要があることを強調した。それに対し、各議員から次の4点についての意見や要望が出された。

一つは、尾道市との合併は瀬戸田町との合併と違い因島市の自治権の放棄であり、メリットのないもので反対であるというもの。

二つ目は、合併方針が回り道をした結果、貰えるべき特例債が激減したのではないか、その点について市長はどう思うか。

三つ目は、尾道市との合併について市民の合意形成が不十分だとし、行政は合意形成のためにもっと努力すべき。

四つ目は、尾道市との合併は因島市の命運がかかっており、市長をはじめ全職員の必死の奮起をうながしたいというもの。

 しかし依然として、市長の責任論に終始し、尾道市との合併の内容が出されないまま法定協の設置が可決された。とりわけ、合併が編入=吸収方式であることを直視できず、対等と錯覚するムードが漂う。

 また、合併特例債(借金)を補助金と混同する理解が見られる。それは、貰えるものではなく、有利な条件で借りられるというもののあくまでも借金である。それを活用すればするほど負債が増えるのは明白。それにふまえた合併議論が最低ラインであろう。しかも、合併特例債は尾道市に出されるものであっって、編入される因島市側の意向がどこまで反映されるか、全く不透明である。

 さらに、議会傍聴者から議会はこれでよいのか、との声が聞こえてくる。行政まかせで議会独自の動きが見えない。合併の最終決定権を握っている議会の責任は重い。尾道市との合併のメリットとデメリットを議会独自に調査し、市民の合意形成に必死になることが、議員の責務であろう。(青木忠)

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