「瀬戸田の常識は全国の非常識」町長住民説明会の波紋拡大

掲載号 04年07月17日号

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 因島市との法定合併協議会からの離脱を表明した柴田大三郎町長の住民説明会における発言が、町内外で様々な波紋を広げている。

 その第一は、合併への民意を示す住民投票の結果の軽視。「議会制民主主義であるから住民投票の結果より、議会の意向を重視する」という発言である。

 周知の通り、わが国は国民主権=主権在民を国是とする。それを基礎として議会制民主主義も成立している。住民には地方議会では選挙権と解散請求権のいずれも与えられており、民意があっての議会である。

 議会ではなく住民によって直接選出される町長は、それゆえの独立性とリーダーシップを求められ議会との癒着を厳しく戒めなければならない。住民の総意を要する合併問題ではとりわけ民意の尊重が大切となる。

 第二に、法定協議会離脱後どうするのか、全くの無方針である。「17年度の合併は無理、18年度をめざす」と言う。因島市との合併を拒否するなら、新三原市、あるいは新尾道市が、当然浮上してくる。しかし町長は、この期におよんでも何処とどのように合併するか、明言を避ける。

 因島市とこじれた以上、いっそう他地域との合併は困難、打診もしていない。「18年度合併」には、何の保障もあるわけでない。

 第三に、合併をすすめるにあたって、最大の障害物として瀬戸田式区長制度が浮びあがってきている。

 町が、毎年慣例的に各区に対し総額約 600万円の行政補助金を交付し、各区長に対し総額 500万円超の区長手当てを支給してきたことが、町議会で問題にされたことがある。ある議員は議会で、「瀬戸田では、議会が衆議院で区長会が参議院」と議会と区長会の「二院制」を賞賛した。他の市町村にとっては、耳を疑う制度であり、それだけでも、瀬戸田町との合併に及び腰にならざるをえない。

 瀬戸田町での2度にわたる住民説明会を通じて、町長・議会・区長会の真意がいっそう明らかになったのは、「瀬戸田の常識は全国の非常識」と、嘆く住民の声も少なくない。

 時代は大きく変貌をとげようとしている。瀬戸田町だけが「しまなみ海道の孤児」にならないことを望みたい。

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