全国ネットの(株)日本セレモニー 因島地区初の葬祭式場6月オープン 高齢化時代投影ゆらぐ島内関連業者

掲載号 04年05月01日号

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 冠婚葬祭業の(株)日本セレモニー(本社下関市)が、因島市に進出、本格的な事業展開をはじめた。中庄町の生協西浦店跡地に因島支店をかまえ、その前に葬祭式場「典礼会館」=写真=を建設中で、6月オープンをめざしている。

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 全国ネット50店の同社は、数年前に中国セレモニー(婚礼部門・平安閣、葬祭部門・中国葬祭)を吸収合併したのを足がかりに因島市への進出をはかってきた。同社の特徴は、毎月積み立ての互助会方式と葬祭にかかわるサービス全てを自社で仕切る仕組み。喪服、花輪、生花、果物、料理、香典返し、墓石、仏壇などすべてを自社で提供し、外部から持ち込みを断るというから島内の関連業者への影響は大きい。

押し寄せる都市化の波

 もともと市内の葬祭は、関係する様々な地元業者が共存し、喪主側と相談しながらサービスを提供してきた。当然、地元業者をシャットアウトするやり方は、大きな波紋をつくりだしている。いずれにせよ、日本セレモニーの進出は、因島をはじめとする島嶼部における葬祭ビジネスの「戦国時代」の到来である。日本セレモニーの因島進出の背景には、葬祭事情の時代に伴う変化がある。核家族化、住宅事情の変化のなかで、都市化の波が押し寄せてきている。

 市内では依然として、自宅で葬儀を出す傾向が強いが、付き合いのわずらわしさや費用面などから、地域の集会所や市斎場を葬儀場に使用する件数も増えてきた。また、親が地元に住み喪主が島外に住んでいる場合、葬儀一式を業者まかせにするのが手っ取り早いということもある。

利用者はどれを選ぶか

 現在市内には、串畑葬儀店、香川葬儀社、因島祭典(以上土生町)、しまなみ葬祭(中庄町)、笹野花輪店(外浦町)などの葬祭業者がある。生協や農協も組合員への葬祭サービスを提供している。日本セレモニー進出に対して各社は座視することはできず、対応策に追われている。

人間関係重視の地元業者

 古くから営業をつづける串畑葬儀店は、「地元の人と人との関係を大切にして自分たちのやり方で今後もやっていく」と語る。

 「今まで、きれいに安く飾り付けをやってきた。自分たちだったら半分の値段でやれる」と強気なのは笹野花輪店。

 日本セレモニーが「因島典礼会館」の名称で営業を開始したことで、混同されて迷惑しているという因島祭典。「資本力では勝てないが、社員が全員地元出身である」ことを生かすことができ、町ごとに違う葬儀のしきたりを知り抜いている地元の強みを強調する。

人生最後の祭ごとの選択

 葬儀の「地産地消」を主張する、しまなみ葬祭は、「事態をあるがまま受け止める。お客様に不利益にならないよう適正な価格で対応する」と語る。外部資本対地元業者の営業競争が、葬祭業の戦国時代の様相をみせるなか、どちらを選ぶかは利用者である。葬儀という人生の最後の祭りごとをどのようにとり行うのか、人さまざまであろう。決して安価にすまない最近の葬儀事情。そうである以上、送られるほうも、送るほうも納得づくでいきたいものである。

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