八月六日の水道

掲載号 04年05月01日号

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1945年8月6日
日陰さえ消し去られた
広島の街に
赤児をも焼き尽くした
神も目を覆う地を黒く染めて
水道水は飛び散る
あの時
すぐ牛田浄水場に駆けつけた
非番の男たち
ポンプは人力で動かし
辛うじて即死を免れた市民の
渇きを助けた
水を飲むとやけただれた皮膚はふくれ
はじけ捲れて息絶えたひと ひと ひと
力尽きても交替で
ポンプを動かし続けた職員たち
水は送りつづけられ
壊れた水道管から
したたり落ちた

 この詩は、アメリカの国立図書館が年に一度行う北米在住者(カナダを含む)を対象とした詩のコンクールで、1996年度の編集長賞に輝いた作品である。混乱した中で、使命を果した水道局職員の勇気に誇りが感じられるとともに、被爆二世であるみやちさんの平和への祈りが込められている。(水道資料館の展示パネルの説明文より)年度の原爆慰霊祭で朗読。アメリカの図書館に配布。

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