瀬戸田町側の反乱で合併協が中断 住民投票の重みを県が説得仲介 因島市側は協議会再会条件を整理

掲載号 04年04月17日号

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 瀬戸田町議会は、9日開いた臨時議会で、因・瀬法定合併協議会の負担金の全額削除を再び決めるとともに、法定協からの離脱を決議した。

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 いずれも法的な拘束力はないものの、5回の協議を重ねてきた両市町の法定協はストップし開けない状態になっている。また、離脱推進派議員9人が17日夜、同町で住民説明会を開く。
 離脱決議案を提出した町議は胡本進、川本秀司、岡本敏、飯田幸弘、羽根武久の4議員で、「因島市・瀬戸田町合併協議会を閉じることが最良の選択」と主張。その理由として、

【1】合併ありきの議論に反対
【2】財政改革の進捗(しんちょく)が図られていない
【3】新市名の「因島市」に反対
【4】(因島市のものを採用する)電算システムの選定方法に疑問

の4点をあげている。しかし、そのいずれの主張も矛盾があり説得力を欠いている。法定協が「合併ありきの議論になっている」という点であるが、議員たちの認識不足を自ら暴露している。

法定協への認識不足

 そもそも法定合併協とはいかに合併していくかを共通な前提として、両市町の委員が同じテーブルにつき協議をつうじて合併案をつくりあげ、両市町議会の議決をえて合併に向かう準備である。

 議会の出番は、法定合併協の決めた合併案が議会に提出されてからであり、それまでは議会選出の法定協の委員(4人づつ計8人)を通じて議会の意見を反映させる方式になっている。

 【2】【3】【4】の点については、法定協で議論が開始されたばかりで、その段階で議会が介入する問題でない。瀬戸田町議会の今回の決議は法定協にたいする矛盾した干渉であり、越権行為と言わざるをえない。

 法定協からの離脱を決議した議員たちは「暴挙であることは重々承知しているが、自分の意見は変わらない」「住民投票の民意より住民に付託された議員の立場を選択した」などと議会で発言している。

 さらに、「離脱後の方針はない」「とにかく離脱して瀬戸田町内のまとまりをつくりだしたい」と語る。

無謀な合併反対単独町制選択肢

 実に無責任な言動と言わざるをえない一面も。市町村合併において最後の障害になるのは議会だとよく言われるが、瀬戸田町議会はその典型だと指摘する人も少なくない。

 瀬戸田町は、尾道広域を断り、因島市との合併研究会をたちあげたが、柴田大三郎町長は一昨年の3月に突然、三原行きを言明。しかし、議会の反発と抵抗で三原広域任意協に参加できず、町長・町議選にすべてをかけた。

 柴田現職が僅少差で勝ち議会も三原派が多数をしめ三原広域の法定合併協に参加できるはずだった。

 ところが、住民投票の結果その思惑は覆された。住民は因島市との合併を選択し、法定合併協議会が発足し、協議会も5回を重ね、合併の流れが既成事実化しはじめた。ここで瀬戸田議会は、負担金を拒否し、離脱を決議するにいたった。

 合併論議について町議会の動きに一貫した底流が見てとれる。合併の流れに対する消極的姿勢であり、一部の合併で失う議員職へのしがみつきもちらほら。尾道、三原もダメ、因島もイヤ。結局は単独町制となるのである。

 「正直言って合併などどうなってもよい。だめになれば自分らの首はつながる」と町民に本音を語る離脱推進派の議員すらいる。合併は議員定数の大幅削減を伴う。合併が無くなれば議員職が守れるというわけである。ここに、議会が合併の最後のハードルになる理由がある。

住民の声に耳を傾けよ

 瀬戸田議会の「抵抗」で暗礁にのりあげた因・瀬法定合併協。この事態への村上和弘因島市長、柴田大三郎瀬戸田町長のうろたえぶりも理解に苦しむ。それぞれ、県の担当者に泣きつき仲介を依頼するしか策をもたない。とりわけ、離脱推進派をバックに法定協に圧力をかけるなど言語道断。

 県は「住民投票でできた法定協のため協議はストップできない」と、職員を両市町に派遣し調整を模索。因島市は20日に合併協検討委員会を開き今後の対策をねる。

 そもそも因・瀬法定協は住民投票によって設置されたものである。法律と住民に依拠することで、成り立っている。この法定合併協が暗礁にのりあげたときこそ、住民の声に耳を傾け、住民に「仲介」を依頼すべきではないのか。そして住民の支持をバックに法定協を再開すべきである。

 今回の事態は、住民不在のまま合併協議をすすめてきた結果に他ならない。

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