平山画伯記者会見【3】文化財を守ろうと思ったら人を守らなければならない

掲載号 04年04月10日号

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 ユネスコ(国連教育科学文化機関)親善大使で画家の平山郁夫氏(73)は13日から北朝鮮を訪れ、高句麗壁画古墳群の世界遺産登録支援について話し合う。訪朝に先立って、平山氏は6日、首相官邸で福田康夫官房長官と会って北朝鮮側が古墳群の保存や研究所建設などへの支援をユネスコに求めていることを説明した。

 これに対し、福田氏は拉致被害者家族の帰国問題を解決、6カ国協議での核放棄などに応じれば、施設建設をはじめとした協力ができる―と、日本の立場を北朝鮮関係者に伝えるよう要請した。さらに記者会見では、拉致問題などの早期解決が必要で、そうしないと日朝間での文化芸術の話もできないことを強調した。

経済的制裁と文化財の保護

 平山氏は瀬戸田町の平山郁夫美術館で3月20日開幕した「流出文化財を守れ―アフガニスタンそしてイラク」で、地元記者にこう話している。

平山郁夫氏

 「バーミヤンの大石仏が大砲で破壊されたとき「私たちにも責任の一端がある」と思った、と顔を曇らせる。私たちや世界中の博物館らが破壊中止を求める国連は経済封鎖をし、罪なき子どもや女性、お年寄り、病人までも苦しんだ。原理主義をとなえるタリバーン政権は、「人の命よりも大石仏が大切なのか」と、大砲の標的にして破壊させた。引き金を引いた兵士たちの心はうずいたことだろう。

 平山氏は、こうも語った。 「文化財を守ろうと思ったら、人の命を守らなければいけない。経済復興や人道支援に加え、それぞれの国の人たちに、自分たちの文化の誇りを持たせることが大切だ。それが文化財を盗難、略奪、盗掘から守ることにつながる、と訴える。

ゼウス神像の銀貨 前3世紀ゼウス神像の左足

 写真は、ゼウス神像の銀貨と日本で見つかった前3世紀ゼウス神像の左足。世界の国々が文化財の不正な輸出入を防止しようとユネスコが1970年採択した「文化財不法輸出入等禁止条約(ユネスコ条約)」に日本も2002年12月、加入した。

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