理不尽な瀬戸田町議会 合併協負担金を否決

掲載号 04年04月03日号

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第5回因島市・瀬戸田町合併協議会の画像

 昨年8月10日の住民投票によって設置された、因島市と瀬戸田町の法定合併協議会は、三原派が多数をしめる瀬戸田町議会が法定協負担金を拒否するにいたり、合併協議を継続するかどうかが問われる局面を迎えることになった。

 3月13日、三庄公民館で開かれた法定協=写真=で負担金を全会一致で承認した。それをうけて同25日因島市議会は法定協負担金を可決。

 ところが26日、瀬戸田町議会はまったく逆の決定をした。同町の平成16年度一般会計当初予算案に含まれていた同負担金814万円を全額削除する修正案を議員発議で可決。その理由として「両市町とも財政状況からみて良い合併にならない」と因島市と瀬戸田町の合併反対の立場を主張している。

 さらに、奇異なことには法定協の場では承認した瀬戸田町議会選出の委員3人全員が、その態度をひるがえして修正案に賛成し、可決となった。

組合議会に飛び火

 この余波は、29日に相次いで開かれた因島市と瀬戸田町との消防組合議会、衛生施設(ゴミ処理)組合議会、生口中学校組合議会に飛び火した。

 とりわけ、生口中学校組合議会では、平成16年度当初予算案2747万円が否決されるにいたった。反対は因島側議員3、瀬戸田側議員2の5人。賛成は瀬戸田議員2人。

 因島側議員などから「合併を前提としない生口中学校の存続は極めて困難だ」などと、同組合管理者の柴田大三郎町長にたいして、法定協の今後と合併についての真意を問う発言が続出した。

 さらに、「昨年比で予算が15%減額されており、十分な教育が保障されない」と批判がでて、生口中学校が組合立になって以来初めての事態になった。

 だがこの事態は、住民不在の、議員同士の「やったらやりかえす」のメンツとイヂのはりあいにしかすぎない。住民というレフリーなき争いである。住民のいないところでは議員も単なる私人である。何も生み出さないばかりか、ただぶち壊すだけである。

住民への背信と裏切り

 誰が、法定協負担金の否決を、生口中学校予算否決を議員に託したのか。住民にとって寝耳に水。驚き失望、そして怒りは大きい。

 両市町の住民は、合併問題になにひとつ有効な方向性を提示できず、うろたえるばかりの首長や議会にとってかわり、住民投票に訴えて因島市と瀬戸田町の法定合併協議会の設置を決めた。そして両市町の首長、議員たちが同じテーブルにつき、法律にのっとった真剣な合併協議を開始することを求めた。

 三原市との合併を志向する柴田大三郎町長や議会多数派も、「民意を尊重する」として委員になり、法定協は船出した。

 多くの住民は、両市町の合併協議は始まり、それなりの協議が進行しているものと思っていた。この住民の想いは完全に裏切られてしまった。

 合併期限まであと1年。住民の要求にこたえるか、それとも自分たちのメンツをとるか。三原派議員は耐えきれず、その本音をさらけだしてしまった。政治的自殺行為に等しい。

青木忠

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