本会議開催中の緊急理事会召集 議会軽視と因島市社協をやり玉 議会選出理事了解済と社協反発

掲載号 04年03月20日号

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 因島市の新年度予算案を審議する3月定例市議会の15日は、予算特別委員会が開かれ総体質問に立った村上博徳氏が「市議選出の理事や市福祉事務所長が本会議で出席できない11日に因島市社会福祉協議会(楠見昭二会長)の理事会を開いたことは議会軽視もはなはだしい」と直接関係ない理事者に詰め寄った。

 これに対し、村上和弘市長は「社協から事情を聞いて22日に報告したい」と回答。社協の楠見会長は「緊急を要したので手続きを踏んで対応した。感謝こそされ非難されるおぼえはない」と反発。ぎくしゃくした議会運営や合併問題で市民の信頼度が低下している行政と議会。地域福祉活動推進の中心的役割を果たしている住民、社会福祉関係者などの参加、協力に支えられている民間非営利組織の「社協」の対立は「福祉活動のブレーキ以外のなにものでもない」と憤懣(ふんまん)やるかたないのが一般市民の声。そこで、この問題を検証してみた。(村上幹郎)

ふれあいプラザ入浴問題飛び火

 因島市の高齢者が全国平均を上回り、特養も老健の施設もなかった平成4年、宇和部の「学寮跡」に高齢化の予防と自立対策として「ふれあいプラザ」を建設、社協が運営にあたってきた。休憩室、カラオケ、入浴施設にゲートボールコートなどがあり、1日300円(入浴料200円含む)でお年寄りが利用した。送迎、介助付きで年間約1000万円で運営してきた。

 ところが、16年度から補助金約500万円がカットされ、人件費の捻出がむずかしくなった。そこで入浴介助の職員らに解雇通知を出すなど維持管理の改革計画をねった。こうした現状で、12年間も続いたお年寄りの入浴サービスのボランティアを模索したが、とりあえず新年度は社協の積み立て寄金を取り崩して継続する案を理事会にはかることにした。

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 このことを市議会選出の社協理事、村上泰通氏=写真=(文教厚生委員長、重井)に説明したところ「一部の利用者のために寄金を使用するのは問題があるのでは・・・」と異論をとなえた。しかも、11日は本会議で昼間の理事会には出席できない皆を告げた。

 そこで、社協事務局は、泰通氏の意見を理事会で説明した上で入浴問題を検討したいと申し出て了解を得たと判断した。後日、このことを泰通氏が議長に報告したところ「11日の議会を午後5時に終わらすので同6時からなら理事会に出席できるだろう」といわれたという。そのことを社協に連絡したが理事(15人)の都合で午後2時開会の変更はできないという返事。こうしたいきさつから「社協は議会を軽視している」と一部の議員から反発の声があがった。

 社協としては、合併問題にも関係があり市議会の予算審議に入るまでにふれあいプラザの入浴事業を一年間延期する計画を報告するのがベターであると判断して緊急理事会を開いたので、議会を軽視したわけでない、と反論する。話し合えば誤解はとける問題である。

 しかし、元市長の社協会長、市役所OBの事務局長と議会人の一部には感情的なものが絡んでいることも否めない。だからといって、議会としても「社協の関係者を参考人として来てもらうしかない」といつもの博徳流の威圧的な発言をして槍玉にあげるほどの問題なのであろうか。昨今の議会は、意見を交換、話し合う審議の場でなく責任追及の糾弾の場のようだ―と傍聴者は柳眉を逆立てる。

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