傍聴席【2】 市民が求めているのは法定協の早期立ち上げ

掲載号 03年09月06日号

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 住民投票の結果をうけて両市町の行政は、合併期限がせまるなか法定協の立ち上げを急いでいる。因島市は10日瀬戸田町は16日(予定)から9月定例議会を開き、法定協の予算議決をもって10月の法定協設置にのぞもうとしている。

 これに対し、因島市議会は8月22日につづき、2日全員協議会を開いたが、5人の議員が欠席し、空席が目立つ有様。

 さらに質問に立ったのは村上博徳議員唯一人で、他の議員は黙ったまま。しかも会議は、「(理事者側の)資料の説明に誠意がない」と声を荒げる博徳議員に配慮して数時間もの休憩に入ってしまった。再開したのは終了の1時間前。

 ところで博徳議員の主張は首をかしげたくなるものばかり。まず主張の前提が、住民投票の結果ではなく、発表が時期はずれになった住民合併アンケート。

 前回の全員協議会で、市理事者側の「合併相手先は瀬戸田がトップで、瀬戸田を含む尾道広域をあわせると65.8%となる」という説明に対し、瀬戸田との合併を嫌う尾道派の議員が「瀬戸田を除く尾道広域14.3%を加えると尾道広域は瀬戸田と1市1町を上回る」とこじつけ質問。
 そもそもこのアンケートは、因島市と瀬戸田町の関係が最悪の状態のもとで実施されたもの。瀬戸田の町長と議会が「三原行き」を明確にし、因島市議会が瀬戸田町との合併に反対するなかでも、市民の回答は瀬戸田町との1市1町が約4割にもなったのである。

 しかし、住民投票によって情勢は一変しており、いまアンケートを実施するなら、その割合は大幅に増加すると、容易に予想しうるのである。

 さらに博徳議員は、「瀬戸田との合併はだめになる可能性があり、その時のために尾道の合併を同時に準備する必要がある」とする。

 この発言こそ議員のとんでもない勘違いがある。誰もそのようなことを求めていない。議会に要求されているのは、住民投票によって設置が決まった法定合併協議会をいかに早く立ち上げるかにあるのである。

(青木忠)

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