望ましい合併とそうでない合併【07】 因島法務局廃止の教訓

掲載号 02年11月30日号

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 平成8年の広島法務局因島出張所の統廃合は、まちがいなく平成の大合併の前ぶれであった。国・県はそれに先駆けて出先機関をつぎつぎと因島から引き上げていった。

 昭和51年に県三原土木建築事務所が廃止、同60年因島保健所、同63年広島地検因島出張所、因島簡易裁判所がなくなった。

 特に田熊の竹長地区は、県土木、保健所、法務局がなくなり、職業安定所と駐在所だけになった。人の流れも町並みもすっかり変わってしまった。国・県の政策いかんで町のありようがこのように変貌をとげてしまう。

 この勢いは止まらなかった。平成7年に因島支店から因島営業所になったNTTは、平成13年ついに同営業所を閉鎖した。また現在土生の海運局や税関出張所、中国電力の撤退もささやかれている。

 さらに安易な「よらば大樹の陰」的な合併は、最悪のシナリオを描くものとなろう。まずは市役所、警察署、消防署などの統廃合は必至だ。それにともない、商工会議所や病院、サティなどのスーパーも現状のままの維持は困難になる。

 いずれにせよ土生町のゴーストタウン化は避けがたく市制移行から50年、土生町を中心に形成されてきた因島という小都市の構造は崩壊を迎えることとなろう。

 このように平成の大合併は、数十年も前から準備され用意周到に布石がうたれている。まさにそれぞれの市町村をふるいにかけその存亡を問うものと言えよう。

青木忠

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