罪つくりな合併三法案 本土主導の合併協議岐路に立つ島の自治 いったいどういう島になるのか
掲載号 04年05月08日号
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大詰めを迎えた平成の大合併。離島が本土側の都市に吸収され、瀬戸内の行政が一気に変ろうとしている。だが、それが直接島民の恩恵に結びつくとはいえない懸念も多い。島から役所がなくなり首長・議員・発言力・世論が消失、県や国と直接交渉ができなくなる。さりとて赤字財政を抱え単独自治を維持することはむずかしい。橋と市町村合併が島を半島・陸の末端に変えつつあるなかで、国は合併特例法改正による知事の勧告権、同法適用期限1年延期という経過措置を設けたため土壇場にきて首長や議会の思惑がらみで迷走、混乱が起き仇花を咲かせている。(村上幹郎)
元の鞘に収った向島町長の叛乱
尾道・御調・向島の1市2町合併協議会は2年がかりで進み、5月11日には合併協定に署名、調印する運びになった。ところが4月20日の法定協で新田賢慈向島町長が突然、合併期日を1年延期して法定協も休会するように―と、提案発言して退席した。
尾道、御調の委員は唖然とした。会長の亀田良一尾道市長は「1年延期の正当な理由もない。向島が脱落するなら1市1町の合併もあり得る」とカンカン。ともかく町民に配慮して合併期日を2カ月遅らせ2005年3月28日とすることでその場を切り抜けた。
1年延期の声が水面下でささやかれ始めたのは3月上旬ごろ。合併特例法の期限を事実上1年延期する改正案が国会に提出され御調、向島両町議は議員職の延命に期待を寄せたが世論を恐れ表面には出せなかった。
同法改正に反対してきた藤田雄山知事は「だから、改正をしてくれるなと片山虎之助前総務相、麻生太郎総務相にも直接会って申し上げた」と国に対して忿懣やるかたない。土壇場で混乱を招いた向島町長の叛乱劇だったが、県の説得で6日後に提案を撤回してもとの鞘に収まったものの感情的なしこりは残った。
合併勧告権についてはなるべく行使しないという藤田知事だが、4月21日には合併相手をどちらにするかで混乱が続く宮島町に「速やかに相手を決めるように」と全国初の勧告。このほか行き先に困っている市町村の相手先に口添えする県のかじ取りに期待する自治体もある。
同床異夢の合併協 迷走する瀬戸田町
県内初の住民投票により、いったん破談になっていた因島・瀬戸田の1市1町合併法定協が設置されたのは昨年10月。三原市との合併に乗り遅れた瀬戸田町の残された相手先は因島市だけ。ところが、呉越同舟の思惑がはずれた同床異夢の繰りかえし。
3月の町議会で新年度予算案から法定合併協の負担金を全額削除。市と町が共同運営している組合立生口中学の当初予算案までも否決するありさま。さらに法的効力はないものの合併法定協離脱決議案を賛成多数で可決した。

住民投票で設置された合併法定協を離脱決議する瀬戸田町議会
2003年8月の住民投票の結果を受けて同10設置された法定協を町議会が事実上否定したことになる。全国でも異例なことで県も「民意に基づく法定協なので開催の義務と責任があり、協議をストップさせるわけにはいかない。それが無理な場合は住民に”信”を問うベきだ」と釘をさす。
法定協正常化 打開へ県調整
瀬戸田町議の勢力分野は昨年春の改選で定数16のうち三原派が10。これに町長が加わるから、一度失敗した三原市との合併をリベンジしたい願望は捨て切れないと分析する。しかし、大和町が加わり1市3町の三原合併協の協議は5月末に終わる。来春3月22日に新設三原市はスタートする準備が進められている。
一方で、因島・瀬戸田の1市1町の合併協は、新市名など基本協議事項をはじめ市議や職員数など重要項目を8月までに協議を終え、11月調印、12月に両市町議会で決議をすることになっている。県の合併担当者はギクシャクしている両市町を訪れ「法定協正常化と協議継続が大前提。その後で両議会が最終的な結論をだすべきだ」と助言する。
島の未来に責任を
理不尽な手段に訴えた瀬戸田町議らは「財政難の両市町が合併してもメリットがない。法廷協議が対等合併になっていない」など理由をあげる。「どうすればよいのか」という問いかけに答えがかえってこない。本音を出すと住民のリコール運動がこわいともいう。
両市町の溝は深まるばかりで4月の合併協は休止状態。アメとムチの合併特例法。その特例債にすがらないとやりくりができないのが大半の自治体。両市町の2004年度当初予算の経常収支比率は100%を越え一般企葉なら破産状態。財政的には、とにかく、どこかと合併して特例債の恩恵にあずからないと忽ち赤字再建団体の転落を避けられないのが実情。
だからといって財政基盤のしっかりした行政に吸収されても、それが直接島民を豊にする保証もない。島発信情報の公的、組織的、蓄積的なパワーが欠落する歯止めはなく島同士の連携により公共民の役割が問われる時である。
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