虎次郎は行く 出版記念会 来賓トーク【5】 因島人としての喜び 元同志社女子大学長 岡野久二

掲載号 04年03月20日号

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 庚午一生君(本名村上幹郎)の「虎次郎は行く」全三巻が上梓されたことは、まことに喜ばしいかぎりであります。みなさんが御存知のように、今回の芥川賞は2人の若い女性が受賞なさいました。そうした若い力の台頭する時代の流れのなかで、高齢者である彼はがんばり立派な作品を発表したのです。

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 私は、その若い女性の受賞作品を一読しましたが、実のところ、その日本語がよく理解できませんでしたそれらに比べ、庚午君の文章には、さすがその道で生きてきただけあって、本物の日本語が息づいています

 私のように長く因島を離れている人間にとって、因島は、いつも恋しいところです。単なる高速道路の通過点にならないで、いつまでも輝いていてほしいものなのです。因島生れの庚午君が因島ゆかりの本因坊秀策を長編小説として描ききったことは、その輝きのひとつであり、同じ因島人として喜びにたえません。

 この文学作品が、これからの島の行く手を照らしだしてくれることを祈念してやみません。いっそう精力的な執筆活動を期待いたします。

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