平成の大合併の中の海上都市構想 因島・瀬戸田の職員が合同勉強会 約830項目の基礎資料作成準備

掲載号 03年10月04日号

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 因島市と瀬戸田町は今月中にスタートする法定合併協議会設立を控え、1日午後2時から市役所3階大会議室で両市町の課長補佐、係長級の約60人が出席、合併問題勉強会を開いた。出席者は実務担当職員で広島県市町村合併推進室主任の藤井睦美さんを講師に合併特例法と合併に係る諸制度、県下の現状について約1時間講演を聞いた。

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合併特例法

 藤井主任の講演要旨をまとめると、合併特例法は市町村合併を促進するため、さまざまな特例措置を定めた2005年3月までの時限立法。主な支援策は合併によって地方交付税の配分額が減少しないよう合併後10年間は、合併前の旧市町村の合算額を保障。新しい街づくりのために必要な道路や各種施設などの建設に、元利償還費の70%を国が肩代わりする有利な地方債(借金)を充てられる。政府は2005年3月までに市町村議会の議決を経て都道府県知事へ合併の申請を終えた場合は、期限後も特例法の財政支援など適用する経過措置を設ける。

 現在、因島市が抱える赤字額は約100億円。瀬戸田町が約70億円。合併しないで地方交付税をカットされると忽ち財政のやりくりはピンチにおちいる。それでは両市町が合併すると、どれほどの財政支援があるかといえば、約100億円に近い事業費の起債(借金)で新しい街づくりに必要な各種施設などの建設費に充てることができる。まさにアメとムチの合併特例法で、財政上の面から考えると避けて通れない制度である。

20分科会で事務統合検討

 講演のあと、両市町の担当職員は財政、建設、商工健保など20分科会で各事業が抱える問題点や解消方法事務の統合に向け調整案を検討した。

 補助金や各種公共料金については両市町の首長判断にゆだね、事務レベルである程度調整可能なものなど分類作業を進めることを確認した。

 法定合併協は20日ごろ設立、初会合を開く予定で、それまでに協議のたたき台にある基礎資料の作成を急ぐ。

 昨年3月までに両市町職員による合併基礎資料約830項目の事務事業の洗い出し作業が出来ているので作業日程は短縮できる。

 従って、各分科会とも随時詰めの協議をして20日までに担当部署に資料を提出する。

議会と民意 残された選択肢

 いったんは壊れた因島市と瀬戸田町の合併選択肢。それが住民投票で認意合併協をとび越えて、いっきょに法定合併協設置にこぎつけた。

 尾道、三原、単独市町との二段、三段構えをしていた議員にとっては率直に賛成できない心情がある。

 これまで、ことあるごとに1市1町の合併問題に水を差してきた。さらに瀬戸田町との合併を最優先する市に対し、単独市制や他市町村との合併の可能性を見極める責務もあるとする決議文を議会で可決した。

 その理由にあげられている「住民署名が住民投票に発展、結論が出るとしても8月以降で、合併特例法期限まで残りわずか」「法定協が設立されても協議が円滑に進む可能性は乏しい」などだが、いずれもマトはずれ。

 県の合併推進室の藤井主任は「法定協からスタート事務的にも昨年3月まで着手しており、じゅうぶん間に合う」と断言。瀬戸田町長も「三原は考えない」と町議会で明言しており両市町の協議は前向きに進む雰囲気にある。あえていえば、議員が足をひっぱらない限り住民参加型の地域づくりは実るのではなかろうか。

藤井講師は、次のように演題をしめくくった。

実りある合併に向けて
【1】地域の「個性」と「将来」をしっかり見定めること。
【2】住民と行政が情報を「共有」し、住民が十分に「参画」していくこと
【3】合併後のまちづくり、住民自治の「仕組み」を整えていくこと。
そして、合併は手段のひとつともいい切った。

 この日、海田町が開いた臨時会で来年4月1日に広島市へ編入合併するための関連議案を反対多数で否決した。協定締結後の否決は中国地方で初めてだが、熊本や岐阜で協定調印後、合併議案が否決された例がある。しかし、いずれもその後の再提案で可決されている。

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