ねじれたままの合併先の選択肢 住民投票と三原・尾道広域参加 首長―議会―住民の思惑に誤差

掲載号 03年06月21日号

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 合併問題が争点になった統一地方選挙で因島市と瀬戸田町の方向性が決まるはずだった。が、いまだに「ねじれ現象」は、こう着状態が続いている。

 こうした現状をふまえ、17日の因島市議会予算特別委員会で「瀬戸田町のほかに尾道広域という選択肢もあるのではないか」という質問が出た。

 これに対し、村上和弘市長は「因島と瀬戸田の1市1町で法定合併協設置について是非を問う住民投票が行なわれることが確実になってきた。こうした住民運動を尊重しながら尾道広域を視野に入れた取り組みを並行して進めたい」という考えを示した。

 この発言をマスコミや傍聴者は「瀬戸田オンリーだった市長の合併方針が変更した」と捉えたが、市長は「以前からの考えと変っていない」と説明をつけ加える。

 だが「どのように進めるのか」という議員の質問には「早急に取り組む」という答弁にとどまり、具体的な手法についての明言をさけた。

合併ありきの是非を検証―

 いま、合併にかかわる重要な課題は、因島・瀬戸田の1市1町で法定合併協議会を設置、政・官・民で協議することの是非を問う「住民投票」だろう。

 両市町の議会が合併特例法にもとづく住民の願いを否決した。議会の否決をくつがえす手段が住民投票という制度。有権者の6分の1以上という署名者の審査が両市町の選管で行なわれ、26日には両選管委員会を開いて投票実施の予定などが協議される。

 投票日は7月末か8月10日までの日曜日が選ばれるだろうが、有効投票数の過半数の賛成があれば、首長や議会に関係なく法定協を設置しなくてはならない。

 さらには、住民投票に影響を与える行動、発言をすると公選法に抵触するという「掟(おきて)」が定めてある。

 だが、議員の中ではこれら法的条件、制約を知らないような発言が飛び出しているのが現状。

瀬戸田町 合併協期限切迫 焦燥感かられる

 各地方自治体の財政状況は特別な地域を除いては行き詰まっている。財政危機を一時的にのがれるのは合併特例法に相乗りするのが近道。その期限も残り少なくなってきた。

 そこで、瀬戸田町長は因島市より規模の大きい三原広域を目指した。だが、町議会は反対した。一縷(いちる)の望みを託し、因島市は瀬戸田町との関係修復を望み続けた。わずかの兆(きざし)は見えたものの実現の手ごたえはない。

 瀬戸田町議会は三原も因島も単独維持も足並みが揃っていないが、とりあえず三原広域任意協の参加に傾いている。住民投票が成立すれば因島市との法定協設立。二者択一で、という妥協案も考えられている。

尾道広域の選択肢

 ここで浮上したのが合併規模の大きさを考えるのなら瀬戸田―因島が架橋を軸とした尾道広域の参加。県が当初示した合併ワク組みの一案である。

 因島市長はスケールメリットを考えるのは二段階目の合併構想で、まず瀬戸田との1市1町がベストだと今でも考えている。それがダメなら尾道広域も選択肢に残っているので「これも視野に入れた取り組を並行して進めたい」と述べたので、合併方針はこれまでと変っていないという。

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