来春の因島市長選立候補を表明 瀬戸田との合併に政治生命かける 市議会は尾道編入を示唆する声も

掲載号 02年12月14日号

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 村上和弘因島市長(56、写真)は、11日開会した市議会定例会で、来春4月27日の任期満了に伴う市長選へ、再選を目指して立候補する考えを表明した。

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 定例会初日の一般質問で村上弘二市議は「財政再建、公平公正な政治―など公約に掲げて市長に就任したが、平成13年度決算は単年度赤字。公共工事の不公平な疑惑などが議会内でとり沙汰されたが、来春の市長選に再出馬をするのか」と質した。
 これに対し、村上和弘市長は「公約実現に向け、福祉関係で老健、特養、デイケアサービスセンターなどの建設を重視。重井公民館に続き三庄公民館、三庄幼保施設建設にとりかかっている。特に生活道路整備には重点を置いてきた。全国的な不況が続く経済環境の中で、15年ぶりに日立造船関連会社の新造船建造が再興。FRP廃船処理工場の計画や重井商工業団地完成で雇用の場の創出に期待している。こうした市政の諸課題解決に取り組んでいくことが私の責務と考え、引き続き市民の意見、要望に耳を傾けながら市政運営にあたりたい」と答えた。
 
合併相手は瀬戸田優先
 
 来春は統一選挙の年。瀬戸田町は町長・町議選。因島市は市長と県議選が行なわれる。それらを意識して弘二議員は、平成の市町村合併問題に切り込んだ。
 因島市長が望んだ瀬戸田町は三原市を中心にした広域合併任意協参加が町議会で反対された。しかし、一票差で瀬戸田町長は三原市との合併をあきらめていないから望みは薄く、特例法期限内の合併がむずかしくなる。因島市の赤字財政以上に悪い瀬戸田町と合併してもよくならない。単独市で残ると赤字再建団体になるのは火を見るより明らかだ。瀬戸田との合併に見切りをつけて尾道広域へ転向すべきだ―と私見を述べた。
 これに対し、和弘市長は市民の声を聞きながら可能性を見極めたい。瀬戸田町民の中にも因島市との合併を望む声があり、日常生活上、これまで消防、ゴミ焼却、組合立中学など両市町で運営。警察署も因島署管内で、段階的に合併を進め将来は道州制をにらんでの編成がベター。現在のところ政治生命をかけて瀬戸田町との合併を最優先して取り組んでいきたい―と、考えを明かした。

三原合併派が町議会へ陳情

 12日、瀬戸田町の「三原広域の合併協議会を推進する会」(中田豪一郎代表)が有権者の53%に当たる署名と陳情書を町議会に提出した。
 同町議会(定数16)は、町長が選択した三原広域合併派と因島、単独町制維持の3つにわかれている。
 当初の住民アンケートは同町高根―三原市須波間の架橋計画が浮上したこともあり三原広域の対等合併論が先行した。時間が経過するうちに架橋の実現がむずかしいことや警察、消防、ゴミ処理、教育環境などこれまでの因島市との関係が見直された。さらには三原市が編入合併方針を打ち出してきた。対岸の佐木島のように過疎化が進むのでは―という不安材料から8月には三原広域合併任意協参加に町議会が反対した。
 今回の署名運動は7日から日まで町職員を除く町内各世帯を訪問しての呼びかけで同一人物の筆跡などがあり、16日開会予定の定例町議会での取扱いが注目される。

両市町住民が合併署名運動

 いまだに決まらない合併の枠組みに瀬戸田町の柴田大三郎町長の三原広域参加を支持する住民代表が署名運動を展開。その一方では因島と瀬戸田の住民が一緒になって「対等合併で”しまなみ市(仮称)”の協議会設置」を求める署名活動の声が高まっている。
大規模合併に編入するか小規模の対等合併を選択するのか。やっと住民が本気で考えるムードが出てきたようで、来春の統一選挙を控え合併問題に住民が直接参加できる機会がやってきた。

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