因島の現状をどう見るか 正しい評価が合併の出発点

掲載号 02年09月14日号

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 昭和28年5月1日、因島全域と東生口が合併し、因島市が誕生した。盛大な祝賀行事が催され、祝賀パレードが土生の町を練り歩いたのは昔物語りとなっている。だが、「御調郡から独立して因島市になる」ことにそれぞれの島民は、将来の夢をたくした。

 それから50年、現在進行する合併は趣をことにする。時代の流れから合併はやむをえないとしながらも、それをめざすエネルギーが表面に出てきてないようだ。

 そうした雰囲気がただようなか、東生口小学校PTAの合併に関する決議は、注目をあびている。東生口地区が教育面でうけつづけた違和感を、「取り除くことのできる50年来のチャンス」であるとして、因島と瀬戸田の合併を積極的に提案している。

 いったん合併したら後戻りが容易でない。合併が、時代的趨勢として避けがたいとするならそれは、その地域の再生をかけた積極的選択として取り組む必要がある。

 ある土生の商店主は、合併を考えるまえに、「現在の因島をどのように見るかが大切だ」と力説する。衰えたといえども1500名の従業員が通う「日立造船」を過小評価してはならないと言う。見方を変えれば、土生商店街も「30年代の雰囲気を残す」立派な財産であると指摘する。さらに島特有の自然の美しさも正当な評価を受けていないと言う。

 自分たちの住む地域の持つ可能性を見直し、それをさらに引きだす方向で合併構想をうちたてていくことこそが、求められているのではなかろうか。

青木忠

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